JFAは公益財団法人であり、男子日本代表だけに資金を投じるわけにもいかない。前出の「JFA成長戦略2026-2031」の中でも、女子全体戦略、都道府県FA(協会)発展戦略などが柱に据えられている。なでしこジャパンや女子の年代別代表、他競技の強化、若年層への普及、都道府県単位での指導者養成や選手育成などにも力を注ぎ、日本全体を底上げしていかなければならない。
98年フランス大会・10年南アフリカ大会で日本代表を率いた岡田武史監督(現JFA副会長)が今月テレビ出演した際、「日本は高校サッカーとJリーグクラブという2つの道がある。大学、プロもある。欧州なら1つのクラブで上に上がれなかったら、ほかの弱いクラブに行くしかないが、日本はJ1クラブのジュニアユースからユースに上がれなくても、高校や大学へ行ってチャンスをつかむことができる」という話をしていた。
それも全国各地の指導者の努力の賜物。さまざまな環境で違った角度から選手を育てる仕組みがあるからこそ、日本サッカーは急激な進化を遂げているという側面もある。
厳しい現状の中でも“打てる手”はある
こうした状況を踏まえると、”コスパのいい日本人監督”で、W杯アジア予選、アジアカップ、親善試合で地道にFIFAランキングを上げ、世界で少しでも上の地位を築いていく道筋は現実的な選択と見ることもできる。
ただ1つ注文したいのは、森保・大岩体制と続いていく今後の代表チームに、新たなエッセンスを投入してほしいという点だ。W杯で上位を経験しているトップ指導者をアドバイザーにつけ、助言を得られる体制を構築するというのは一案ではないか。
目下、日本にはJリーグがグローバルフットボールアドバイザーとして招聘した名将、ロジャー・シュミット氏が常駐している。ドイツ・ブンデスリーガ1部のレバークーゼンなどで手腕を振るった同氏のサポートを得られれば、即効性がありそうだ。
この形なら、Jリーグと協力しながら進められるし、コスト面でもリーズナブルだろう。つねにお金と向き合わなければいけないのはシビアだが、サッカーが世界規模の一大ビジネスになっているのは避けられない現実。現状の財政規模で取りうる策を考えながら動くしかない。
日本代表が30年W杯で今度こそ決勝トーナメントの壁を突破するためにも、財政面の強化は必須。その努力も続けながら、現場の成長を後押ししていくことが肝要だろう。

