新刊『低山遭難 「まさかの遭難」から生きて帰った人たち』を上梓した羽根田 治氏が、都会のすぐそばにある人気の低山ならではの、遭難リスクについて解説します。
油断と慢心がリスクを高め、遭難を招く
低山での遭難事故の最も根本的な原因となっているのは、登山者自身の油断や慢心だろう。
低山にもたくさんのリスクが存在しており、危険度ということでいえば、標高の高い山とそれほど変わらない。
ただ、高い山と比べれば、標高が低いぶん、それぞれのリスクの切迫度は低いかもしれないが、対処を誤れば、場合によっては命に関わってくることにもなる。
その対処を誤らせるものが、「低山だから」とアマくみてしまう油断や慢心である。
しかし、それを理解はしていても、
「登山届なんて出すまでもない」
「水と食料さえ持てば大丈夫」
「標高が低いから大した山ではない」
「コースタイムが短く体力的にラク」
「里が近いから迷ってもすぐ下りられるだろう」
といった、リスクを軽視する心理的バイアスがどうしても働いてしまい、「低山でも油断は禁物!」というほうにはなかなか頭を切り替えられない。
その結果、リスクを見落とし、また判断を誤り、遭難への道を突き進んでいってしまう。それが低山で起きる遭難事故の図式ではないかと思う。
ありきたりな言葉かもしれないが、大事なのは「低山だから」とナメてかからず、さまざまなリスクがあるひとつの山だととらえ、しっかりリスクマネジメントを行なうことであろう。


