このハードルの上昇は、受験生の行動そのものも変えつつあります。上位層を中心に、難関国立大を避けて私立大にシフトする「私大シフト」の傾向が、ここ数年はっきり見えてきているんです。
これって多科目を課される国公立を敬遠して、少ない科目で受けられる私立に流れる動き、とも言えます。
「共通テストを使って国公立大学」「共通テスト利用で私大に合格」というのを避け、最初から共通テストを捨てて、私立大学を選ぶ受験生が明らかに増えているというわけですね。
ここまで見ると、「やっぱり共通テストの導入は失敗だったんじゃないの?」という気持ちになってきますよね。
これは「共通テストだけの問題」じゃない
とはいえ、ここで一歩引いて見てほしいんです。この難易度上昇、共通テストだけで起きている現象じゃないんですよ。
私立大学でも、国公立大学の二次試験でも、問題の質はどんどん変わってきています。
マーク式一辺倒だった大学が記述問題を増やしたり、英語でリスニングを本格的に課すようになったり、資料を読み解いて論じさせる問題を導入したり。
全体として、日本の大学入試そのものの難易度と質が、じわじわと変質しているのが、この10年の大きな流れです。
だとすると、「共通テストが悪い」というのは、たぶん論点がちょっとズレているんですよね。
共通テストは、大きな地殻変動の症状のひとつであって、原因ではない。共通テストを廃止してセンター試験を復活させたところで、大学入試全体の変質は止まらないでしょう。

