また、議会が反発したのは支援案の内容だけではない。十分な情報がないまま、多額の公費を投じる判断を迫られたことにも、強い不満があったのである。
⑤土地を提供した市が、ビルオーナーと直接契約できなかった
もう一つ、議会で繰り返し指摘されたことがある。松戸市は、もともとこのビルの敷地を所有し、再開発のために土地を提供した当事者だったという点だ。
市は2017年、賃料を抑えるため、ビルオーナーと直接契約できないか交渉を試みている。しかし、この提案は断られた。市の答弁によれば、オーナー側の回答は「伊勢丹が松戸市とテナントに関する協議をしている中で、こちらから市に貸すことはできない」というものだった。
ここで、伊勢丹が入居するビルが建設された経緯を振り返りたい。
松戸駅西口の再開発では、松戸市が1971年3月に旧中部小学校跡地の一部を長崎屋へ、同年8月には8668平方メートルを三菱地所へ売却した。さらに1974年3月には、完成したビルの一部を三菱地所から約1億6000万円で買い戻している。
再開発に深く関わっていたにもかかわらず、ビルのオーナーと直接契約することすらできなかった理由の一つは、所有者が当初の三菱地所ではなくなっていたことにある。2017年時点でビルを実質的に所有していたのは、松戸のまちづくりとは直接の関係を持たない投資会社だった。

