再開発当初、このビルは市と三菱地所、伊勢丹が関わる形で整備された。しかし、40年余りの間に所有者が変わり、市が直接交渉できる関係も失われていた。
⑥議会が否決したのは、伊勢丹の存続ではなく支援方法
ここまで見てきた経緯を整理すると、2017年9月に松戸市議会が全会一致で否決したのは、伊勢丹松戸店の存続そのものではなく、市が示した支援の方法だったことがわかる。
提示された賃料は、市が借りていた事務所の2〜3倍だった。その根拠を市は十分に説明できず、伊勢丹がビルオーナーへ支払っている賃料も把握していなかった。さらに、議会は約2週間という短期間で、総額約21億円の支援策について判断を迫られた。
議会が問題視したのは、こうした支援の進め方だった。一方で、市がこうした条件でも、伊勢丹松戸店の存続を最後まで目指したことも事実である。
ではなぜ、松戸市はそこまでして百貨店を誘致し、存続にこだわったのか。その答えは、伊勢丹が開店する6年前の1968年、市がまとめた一冊の報告書に記されている。そこには、松戸市が千葉県有数の商業都市「大松戸市」を目指す構想が描かれていた。
続く後編ではその報告書をもとに、松戸市が駅前に百貨店を必要とした理由をたどっていく。

