年金破綻論には、いくつかの明確な誤りがある。
まず、年金制度だけが独立して破綻するというロジックはほとんど不毛だ。国が社会保障制度の一部だけを切り離して破綻を宣言しても何の得もない。
仮に年金支払いを全国で停止したところで、3000万人を超える高齢者に生活保護を支給しなければならないからだ。
生活保護は全額税金でまかなわれるので、国にとっては保険料と税金を併用しつつ、公的年金制度を維持したほうがよほどいい。
また、年金財政は法律改正を行なうことで健全化させることが可能であるが、破綻論者はこれを「破綻しそうだから改悪するのだ」と言う。
実際のところ、彼らが言うところの「改悪」をすれば、年金制度は破綻しなくなるわけだから「改正」と呼ぶべきなのだが、批判を目的とした論説であるから、どのような改正も批判されることになる。「約束された給付がもらえない」という批判にすり替えるからだ。
これは批判論者の大きな矛盾である。
日本は世界2位の年金積立金を保有
破綻論者の矛盾はさらに続く。「年金積立金が枯渇するので破綻する」というロジックも未だに蔓延しているが、「じゃあいくらあれば足りるのか」を明確に言う人はいない。
例えば「日本の年金積立金額は世界で何位でしょうか? G20諸国の中では何位だと思いますか?」と聞かれたら、あなたはどれくらいの数字を挙げるだろうか。
この質問を投げるとだいたい「世界で10位くらい? いや20位?」とか「G20の中なら5位か6位くらい?」というような回答が返ってくる。
実際には、日本の年金積立金は世界2位である。日本より人口の多い国で、日本より積立金が多い国はアメリカのみである。
それどころか、イギリス、ドイツ、フランスのような先進国のほとんどは年金積立金という概念を持たない。彼らは税や保険料収入を、数カ月後の年金給付にそのまま回しているからだ。
年金について、よく「世代間の支え合い」という言葉を使うが、これらの国はまさに支え合いをリアルタイムで行なうので、積立金がないのだ。


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