進学や就職を機に、居住地を移すことの多い20代。では転入よりも転出が目立つ自治体はどこなのか。
総務省の「住民基本台帳人口移動報告(2025年)」を基に、20代の日本人住民の「転出超過率」を算出した。転出超過とは、ほかの市区町村への転出者数が、ほかの市区町村からの転入者数を上回った状態を指す。
今回は外国人住民の移動を除き、日本人の転入・転出だけを対象とした。分母にも25年1月1日時点の日本人20代人口を用いている。また、人口規模の小さい自治体では、少人数の移動でも率が大きくなりやすい。日本人20代人口が500人以上の自治体に対象を限定した。
1位の島根県奥出雲町は15%超
1位となったのは島根県奥出雲町だった。25年1月1日時点の日本人20代人口は639人。25年中は、日本人20代の転出者数が転入者数を100人上回り、転出超過率は15.65%となった。
2位は岡山県奈義町で、転出超過率は14.04%。日本人20代人口527人に対して、74人の転出超過だった。3位は兵庫県新温泉町で13.89%、4位は千葉県勝浦市で13.59%、5位は福島県小野町で13.44%となった。
上位には、日本人20代人口が1000人前後の小規模自治体が目立つ。上位30自治体のうち29自治体は日本人20代人口が2000人未満で、100人前後の転出超過でも率が10%を超える。このため、順位は転出者の絶対数だけでなく、若者の人口規模の小ささにも左右される。
日本人20代人口が500人以上の1270自治体のうち、転出超過となったのは1096自治体だった。20代の国内移動では、一部の大都市やその周辺などに転入が集中する一方、多くの自治体では転出が転入を上回っていることがわかる。
ただし、上位だからといって、単純に「若者に見放された自治体」とはいえない。大学が立地する自治体では卒業時の転出が数値を押し上げるほか、上位には能登半島地震や奥能登豪雨で被災した珠洲市、輪島市、能登町、志賀町も含まれる。これらの自治体では、災害後の避難や生活再建に伴う転居が数値に影響した可能性が高い。
それでも、若者が進学や就職を迎えた後、地域に残れるだけの教育、雇用、住宅、交通環境が整っているのか。転出超過率は、各地域が抱える若者定着の課題を考えるための1つの手がかりになる。
