「タングステン原料の調達は、今までに経験したことのない困難に直面している」。超硬合金製耐摩耗工具・金型の製造販売を主力とする冨士ダイス(東京都大田区)の津田雅宣社長はそう打ち明ける。
原料である炭化タングステン粉末を、主に国内の原料メーカーを通じて調達し、自社でコバルトと混ぜ合わせて高温で焼き固め、超硬合金を製造。それを基にダイスやプラグといった工具や、製鉄用の圧延ロールなどの製品に仕上げている。取引先は自動車や鉄鋼、半導体をはじめとする電子部品、次世代光通信、製缶などさまざまな分野にわたり、3000社に及ぶ顧客基盤を持つ。
冨士ダイスでは、原料メーカーによる供給は継続しているものの、原料全体の供給数量が減っていることから、「現時点では、超硬工具や金型の生産や出荷はなんとか計画どおり実施できている。一方で、銅タングステン合金を用いた放電加工用の電極については一時的に受注をお断りしている状態だ」(津田社長)。
津田社長は「月ごとに状況が変化している」とし、「今後についても警戒感を持って対処していく」と語る。
中国がサプライチェーンを掌握
アメリカ地質調査所の調べによれば、世界のタングステン鉱石生産量の約8割を中国が占めている。中国は精錬など主要な工程でも圧倒的なシェアを持ち、レアアースと同じく世界の供給源を押さえている。
この記事は有料会員限定です
残り 2855文字

