たとえば、仕事を教えるなかでその人の得意・不得意がはっきり見えてきたとしましょう。
そのとき、「どう教えれば苦手を克服させられるか」とつい考えがちです。しかしこれは、あまり良い成果をもたらしません。
学校の勉強を思い出してください。あなたにとって数学は、いつも50点取るのがやっとの苦手科目、逆に国語は最低でも70点は取れる得意科目だった場合、「数学を70点にしよう」と言われるのと、「国語をさらに伸ばそう」と言われるのとでは、どちらが苦痛でしょうか。苦手な数学のほう、と答える人が多いはずです。
仕事の現場は、チームの総合力で成果を出します。「チームでそれぞれの得意なところを活かして高得点を取ること」が求められるのであり、誰かの苦手はそれを得意な人が補えばいいのです。それぞれが得意なことをより伸ばすほうが、チームとしての総合力は上がるでしょう。
なにより教える側も楽になりますし、メンバーのストレスも減って仕事への満足度も高まるはずです。
得意・不得意に関係なく取り組ませることに意味があるのは、
・これを知らないと、この仕事ができない
・ここを一度通っておかないと、次のステップに進めない
といった避けて通れない経験です。「苦手を克服するのも勉強」「嫌なことでもやるのが社会勉強だ」という悪気のない根性論は不要です。
苦手なことを無理にやらせるのは本人を無駄に苦しめるだけで、行きすぎると退職のきっかけになってしまう危険性すらあります。
苦手なことに取り組ませると、本人にとって大きなストレスとなる
もちろん会社ですから、たとえばコミュニケーションが苦手であっても営業に配属される、というケースもあるでしょう。たしかにその後の本人のキャリアのためにも、取り組ませる必要があるともよく聞きます。
ただ、苦手なことに取り組むとなれば、本人は大きなストレスを感じます。
だからこそ教える側は、それが本人にとって苦手なテーマだと十分理解していると示したうえで、
・なぜこの経験が必要なのか
・どこをゴールにしているのか
といったことを、あらかじめきちんと伝えておくことが必須でしょう。

