有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ #サオリス・ユーフラテスの数字の向こう側

「残ったところも火をつけてやる」の脅迫も…2度の大火から生き残った《旦過市場》が「観光地化」を選ばない深い訳

12分で読める
旦過市場
「北九州の台所」と言われる旦過市場は、100年後を見据えて生まれ変わろうとしている(写真:筆者撮影)
2/7 PAGES
家庭の食卓で使う野菜から、料亭やホテルに卸す野菜まで、市場に来れば手に入る(写真:筆者撮影)

「旦過市場は先人たちが紡いできた場所で、人の流れがあるから空き店舗はあんまりない。支持される店は残り、そうでない店は入れ替わる。だから今も続く店には、しっかりとお客さんがついています」

「かしわ屋くろせ」の店舗前で(写真:筆者撮影)

その歴史ある旦過市場は、なぜいま建て替えられようとしているのか。

「簡単な例で言うと、2階、傾いてるんですよ。ボールペン置いたらコロコロコロって転がるんですよ」と黒瀬さん。

毎年の雨漏りの修繕に、200万円以上が消えていくという。川の上に張り出した店の下では、土砂が流れて空洞化が進み、アスファルトがボコっと落ちた場所もある。2009年、2010年には、2年連続で神嶽川が溢れ、市場が水に浸かった。行政の河川改修と一体で建て替える。

神嶽川の上に建つ旦過市場(写真:筆者撮影)

黒瀬さんが商店街の役員になったのは、約18年前。副会長を11年、会長を6年務めた。

「大正時代から続いてきた旦過市場は、だいたい100年の歴史って言われてるんですけど。このままだと、後の世代につなぐことはもうできんだろうなって。あと100年この市場をつないでいくには、建て替えは絶対必要なんです」

建て替えの話は、黒瀬さんが役員になる前から何度も浮かんでは消えてを繰り返していたという。

「でも今回が最後のチャンス、このタイミングでしないと、もう旦過市場はなくなると思ったんで」

調べてみると、再整備の歩みはこうだ。2年連続の水害を機に、北九州市と市場の関係者は協議を本格化させ、市の河川改修と一体で進める再整備へ。2021年には土地区画整理事業が始動した。何十年も実現しなかった建て替えが、ようやく形になり始めていた。

その矢先だった。2022年4月19日、深夜。旦過市場に、火が広がった。

火災前、2022年4月18日の旦過市場のホワイトボード(写真:編集部撮影)

がれきは、財産

北九州市の資料によると、1度目の火災で42店舗が焼けた。黒瀬さんは、当時を振り返る。

「もう、びっくりでしたね。がむしゃらでした」

3/7 PAGES
4/7 PAGES
5/7 PAGES
6/7 PAGES
7/7 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数