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〈ルポ〉日本企業も利用するAI需要を支える"激安再エネ"の裏で脅かされる「森の民」マレーシア先住民族のくらし

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マレーシアのバタン・アイ・ダム
水力発電のために建設されたダムによって水没したマレーシア先住民の森林(筆者撮影)
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「周りの施設が整う前に移住を強いられたので、学校もクリニックも、何年も経ってからやっと(地域に)来ました。先祖から受け継いで大切にしていた環境がなくなり、今は家も、電気も、水道も、生活のすべてにお金を払わなくてはいけなくなりました」(ダヤック族、50代の男性)

イバン族の文化や伝統を伝承するNGO「SADIA(サラワク・ダヤク・イバン協会)」の副事務総長アンドリュー・ポール氏は、移住がもたらしたものについて、こう語る。

いきなり資本主義の世界に放り込まれた

「昔、イバン人は狩りをした動物をロングハウスの皆で分け合いました。『売ってお金にする』ということを知らなかったのです。私が幼い頃もまだそうでした。でもダムや伐採などのために移転して初めて、家賃や車、食料品など、あらゆるものにお金を払わなければならなくなる。そこではじめて、彼らは資本主義の論理でお金を稼ぐ方法を学び始めるのです。これはとても悲しいことです。生活様式全体の構造を変えてしまいました」

また「再定住」地域にはいまだ生活インフラが十分に整っておらず、買い物や受診の際には近くの街まで遠出する必要がある。そのため、村人たちはローンを組み、中古車を購入する。同時に土地不足のため、世代が下って世帯人口が増えても伝統的なロングハウスのように空間を広げながら共同体としての生活を維持することができない。だからローンを組んで上階に増築するしかないのだという。こうした借金返済の必要から、必然的に賃金労働を余儀なくされるのだ。

住民の多くは近隣の油ヤシプランテーションで一日8時間働いており、数少ない現金収入源の一つとなっている。通常2〜3ヘクタールのプランテーションでは月に約5トンの生産が可能で、月収は最大で約4000リンギット(約16万円)ほど。しかし各種の請求やローン返済を差し引くと、家族の手取りはその半分以下だという。

「生活はしていけます。でも家のローンがあり、光熱費や水道代、必要な機材やメンテナンス、そしてコミュニティの生活がある。貯金はほとんどできません」(村の男性)

増設された上階に上がるための住民手作りの階段(筆者撮影)

話を聞いていると、高齢の女性が「家の中を見せてあげる」と手をとって案内してくれた。通訳なしの、身振り手振りの会話にかかわらず、目を見て微笑みながら、丁寧に部屋を一つずつ見せてくれる。屋内は明かりが行き届いておらず、昼間にもかかわらず薄暗い印象が残った。

長い廊下に並ぶドアを開けると、複数の部屋が世帯ごとに連なっていた(筆者撮影)

イバン族は伝統的に埋葬の慣習を持つ。水没した故郷の地域にはまだ先祖の墓が残っており、「自分たちは今ここに住んでいるけど、心はいつも森にある」のだと彼らは言った。

バタン・アイ・ダム建設から約10年後、サラワクではさらに大規模なバクン・ダム計画が進められた。90年代に着工された同ダムは、最終的に2011年に本格稼働し、約700平方キロメートルというシンガポールとほぼ同じ面積の土地を水没させ、ケニャ族やカヤン族を含む1万人以上の先住民の移転を伴った。

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