当初はもっと、ほんわかした世界観にする予定だったというりえ太郎さん。「最初はわが家の愛犬を主人公にした『犬から見た受験家庭』を描きたかったんです。ただ、書きたいことを漫画に込めていくうちに、私が持っている毒というか、素の部分が出てきてしまって(苦笑)」
最初に書きたかった方向性ではなくなったが、りえ太郎さんと息子・さいくんの日常のリアルさに「今まさに怒っていたけど、笑っちゃいました」と共感する声が広がり、フォロワーがみるみる増えていった。
中学受験「笑える瞬間もあるんだよ!」
中学受験を題材にした小説やノウハウ本は多数あり、中学受験を検討する親御さんは何かしら読んでいる。
「実際、中受離婚や教育虐待のような小説もたくさん出ていて、『あるある』だと思えてしまう瞬間があると思うんです。でも、読んだ後は『怖いな、自分は気をつけよう』と思うだけ。
私自身もそういうものを一通り読んだうえで、だからこそ『こういうことばかりじゃないんだよ、笑える瞬間もあるんだよ』ということを描きたいと思ったんです」
ただ、りえ太郎さんが共感を得ているのは、クスッと笑える中受の日常の親近感がウケているという点だけではない。
上梓した書籍タイトルにあるように、りえ太郎さんは元SAPIXママであることが、伴走する親の指針となっている点だ。
本書の冒頭では「もしも中受4大塾が王国だったら」という仮説のもと、各大手塾が特徴的に描かれている。それぞれよく捉えていて、思わず笑ってしまう秀逸さだ。
その中でSAPIXは、御三家と呼ばれる最難関中学をはじめ、難関校への圧倒的な合格実績を誇ることで広く知られる、中学受験の最上位層が通う塾。2026年度の首都圏(一都三県)の私立国立中学校受験者は5万2050人、うちSAPIX在籍数は6000人弱(26年卒塾期。第37期在籍者数 5969名(26年3月23日現在))と1割強しかいない。

