AI投資を考えるとき、多くの企業はROI、つまり投資対効果を見ようとします。
それ自体は当然のことです。しかし、ここで注意しなければならないのは、「AI投資には性質の異なる2つのROIがある」という点です。
AI活用には「2つのROI」がある
ひとつは「効率化ROI」です。
これは、どれだけ作業時間が減ったか、どれだけコストが下がったか、どれだけ処理件数が増えたかで測ることができます。
たとえば、議事録作成に1時間かかっていたものが10分になった。資料要約に30分かかっていたものが数分で終わるようになった。問い合わせ対応の一次回答をAIが担うようになった。
これらはすべて、「効率化ROI」として評価しやすい成果です。
そして、この「効率化ROI」は決して軽視すべきものではありません。日々の業務負担を下げ、社員がより重要な仕事に向き合う時間をつくることは、企業にとって大きな価値があります。
ただし、それだけでは十分ではありません。
もうひとつが「Revenue ROI」です。
これは、AIによって新しい売上が生まれたか、新しい顧客接点が増えたか、新しい事業カテゴリが立ち上がったかで測るものです。
「効率化ROI」は、既存業務を速くするものです。一方、「Revenue ROI」は、事業そのものを進化させるものです。
この2つを混同すると、AI活用は必ず効率化で止まります。
「AIでどれだけ時間が削減できたか」だけを見ていると、AIはいつまでもコスト削減の道具にとどまります。しかし、「AIでどれだけ売上機会を増やせたか」を見始めると、AIは新規事業開発や収益創出の武器に変わります。
私がいま強調したいのは、まさにこの転換です。
AIを導入したかどうかではなく、AIで売上を創る経営に踏み込めているかどうか。これが、次の段階で問われるテーマなのです。

