こうした問いをもち、対話の場をつくろうとしても、現実的にはメンバーから期待するような反応が返ってこなかったり、インタラクションが生まれないという現場ならではの課題感をよく耳にします。そんなときに大事にしたいのが、自分が「役割」から話していないか検証することに加えて、「Not knowing」の姿勢をもつことです。Not knowingとは無知の姿勢であり、「私は本当に知らないので教えてください」という謙虚で真摯な態度のことです。
これはテクニックというよりも、本当に問題を解決したい、相手のことを理解したいと思ったときに自然に生まれる態度や姿勢のことです。対話は「役割と役割」の権威や階層の間ではなく、「人と人」の水平かつ民主的な間で、初めて成立し展開する推進力を得ていきます。
また無知の姿勢をもつことで、「わかっているつもり」の過信や「こうあるべき」の思い込みといったバイアスを排除することも可能です。もし、聞き手であるメンバーを対話にいざなっても、反応が芳しくないときは、相手に対して語るというよりも、相手とともに語り、わかり合おうとする「Not knowing」、無知の姿勢をもって臨むことをおすすめします。
おわりに
ストーリーテリングが単なる情報伝達にとどまらず、自他の行動変容を促し、現実を書き換える力をもつ「物語り」であることをお伝えしてきました。ストーリーテリングは、つくり方の6Cの観点と7つのストーリータイプさえ押さえてしまえば、実は、難しいものではありません。
ビジネスでもロジックとアート両面が求められますが、プレゼンは、ロジック。ストーリーテリングはいわばアートです。ぜひ、今回のコラムを通じて、両利きのベストコミュニケーターになってくださいね!
読者の皆さんが未来を切り拓かれることを切に願っています。


