そして大トリを飾ったのは、走行わずか743kmの2023年製、フェラーリ「デイトナ SP3」である。最終的に9億円を超える大金でハンマーが落ち、限定フェラーリが持つ圧倒的な市場価値と、その人気の高さを改めて強烈に印象づけた。
また、近年価格が低迷していたマセラティだが、「3500 GT ヴィニャーレ・スパイダー」が、68万1250ユーロで落札され大いに盛り上がった。
しかし、私がこのオークション、あるいはコモ湖周辺で最も熱い視線を送ったのは、これら伝統のイタリアン・エキゾチックではなく、日本車(JDM)の圧倒的な存在感であった。
昨年のホンダ「NSX-R」の記録的成功を受け、今年も2003年式・チャンピオンシップホワイトを纏い、ホンダ公式の「NSXリフレッシュプラン」を施された極上の「NA2型 NSX タイプR」が登場(エスティメート85万~95万ユーロ)。
さらに、絶対的アイコンである日産「スカイライン GT-R(R34)」が、NISMOによる「CRS」や「V-Spec II Nür」など、同一コレクションから5台もすべてノーリザーブで一挙に出品されたのだ。
かつては精密なマスプロダクションとしか見なされていなかった日本のスポーツカーたちが、この欧州で最も格式高いコモ湖の舞台において、フェラーリやメルセデスと並び、コレクターたちが血眼で追いかける正真正銘のクラシックカーとしての地位を確立した姿を眺めるのは楽しい。
オークション会場の外でも、日本車を操るグループたちがコモ湖周辺を活気あふれる様子でツーリングしており、そのクラシックとしての存在感の急速な高まりを私は肌で実感した。
自動車文化の進化がここにある
自動車文化をより高い次元へと押し上げていくうえで、これらコンクール・デレガンスやそれに付随するイベントの存在感が高まっていくのは言うまでもない。
伝統のエレガンスを誇るヴィラ・デステ、エンジニアリングの極致を祝うフォーリ・コンコルソ、そして市場の熱量を可視化するブロード・アロー・オークション。これらが共存し、多様な層を巻き込んで熱狂を生み出すコモ湖の自動車週間は、まさに自動車文化の現在進行形の進化そのものであった。
素晴らしい熱気と余韻をかみしめつつ、来年の開催にも大いに期待したいものである。

