そして、PCは家庭用ゲーム機にはないメリットがある。それはゲームソフトの寿命が割と長いことだ。
家庭用ゲーム機はハードが変わると過去のDLタイトルが買えなくなる可能性がある。実際、PlayStation 3・PlayStation Vita向けのストアは2027年7月にサービスが終了されてしまう。そして、DL版しか遊べない家庭用ゲーム機はより寿命が短くなりうるのである。
もちろんPCゲームも一生遊べるわけではないし、Steamでも配信停止になったタイトルはある。それでもPCそのものは買い替えても別に問題ないし、DRM(デジタル著作権管理)フリー、つまり認証なしに起動できるゲームを買えばだいぶ長持ちする(DRMフリーを特徴とする販売プラットフォームもある)。何よりユーザーとしては、ゲームを買うプラットフォームはなるべく長持ちするところにまとめておきたいものである。
ちなみに、DL版に切り替える動きはPlayStation 5が初めてではない。10年ほど前に、似たようなことを狙ったゲーム機があった。
ユーザーからの反発を受け、DL版に切り替えなかったマイクロソフト
2013年、マイクロソフトのXbox Oneはディスクレスに近い運用が行われる予定だった。パッケージ版でもインストール・オンライン認証をすれば、その後はハードディスクから遊べるような運用が予定されていた。
ただし結局は定期的なディスク認証が必要だったり、中古売買に制限がかかることになり、ユーザーは猛反発。結果としてマイクロソフトはこの仕様を取りやめた。
この過去を見ればわかるように、DL版オンリーの展開はユーザーの所有権を大きく制限することになる。中古販売ができなくなるし、取り回しも面倒になっていく。
電子書籍などでもよく話題になるが、DL版の購入はあくまで一時的な所有権にすぎず、パッケージが手元に残らない以上いつまでも使える保証はない。ましてやソニーはイギリスで購入済みの映画・番組551タイトルをライブラリから削除すると通知しており、物議を醸している。
もちろん、ディスクだからといって永遠に保存できるわけではない。しかし、物理媒体がなければ国会図書館にも収集されなくなるし、インターネットを見ればわかるようにデジタルデータはいきなり消失しがちである。アーカイブの側面でも難しくなっていくし、ユーザーが古いバージョンを保持することもできなくなる。
ともあれ今回のPlayStationの判断は、インターネットが当たり前になった時代の流れなのは間違いないだろう。かつてあったゲーム専門ショップが消えたように、現実のお店でゲームソフトを買えなくなる日がきて、ゲームソフトを個人が所有できない状況が当たり前になるのかもしれない。

