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ライフ #神童だったあの子の今

「キラキラ商社」憧れた彼女が見た現実 摂食障害・醜形恐怖…"フツーに生きられない"原点は「ブスと何度も言われた」過去

11分で読める
(写真:綾瀬さん提供)
  • 新倉 和花 東京大学法学部卒・麻雀プロ
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選んだ就職先は、五大商社のうちの1社、しかも事務職である。同期はほぼ全員女性で、総合職側は将来1500万円以上の年収が見込まれる男性ばかりだった。

内定者懇親会の席で、彼女は同期の女性社員たちが、総合職の男性社員を立てる作法を自然に身に付けているのを目にする。雑談に紛れて、ある女性社員のひと言が耳に入った。

「今の彼と結婚なんかするわけないじゃん。絶対、この会社の人と結婚するわ」

その発言が、今までの人生の中で触れていた価値観と違いすぎたのだという。数日後、首から胸元にかけて全身に蕁麻疹が出る。腫れは引かず、医師から正式に「ドクターストップ」が告げられた。入社まで残り3週間のタイミングだった。彼女は自分から電話して、内定を辞退する。

大学4年生のとき(写真:綾瀬さん提供)

それから少しして、別の医療機関でWAIS(成人用知能検査)を受けた。出た結果に、彼女自身が驚いた。言語IQ 130/知覚(空間認識)IQ 58。差はおよそ70。加えて、ASD(自閉スペクトラム症)の診断も下りた。23歳のときである。

極端に高い言語能力と、極端に低い空間処理能力。それまでの人生で起きていたほとんど全てのつまずきがここで説明された。

「飲み会の場で、自分だけ笑うところが違ったりして、ストレスを感じた後に全身に蕁麻疹が出た。これは『合わない』の域を超えていると自覚しました」

【新生活】4月1日が来るのが怖い

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内定辞退後の彼女は、いったん「畳に倒れる」生活に入った。新型コロナ禍と就職活動の挫折が重なり、ほとんどの時間を実家の自室で過ごした。家族は咎めなかった。

「正社員になってストレスをためながら働くより、YouTubeで頑張ってお金が入ってくるならいいんじゃない」

両親はそう言って、彼女の活動を黙認した。撮影中は「撮ってるときは『撮影中』って扉に貼ってくれ」と頼まれる程度で、それ以外の干渉はなかった。神戸女学院が守ってくれた「変わった子のままでいい」という前提を、実家でもう一度受け取り直す形になる。

(写真:綾瀬さん提供)

当初配信していたのは美容コンテンツだった。摂食障害と醜形恐怖症に長く苦しみ、整形まで踏み込んできた彼女の語る「かわいくなる」は、雑誌的な美容情報の手触りとはまったく別物だった。だが本当に視聴者が反応したのは、ある日アップロードされた一本の動画だった。タイトルは「【新生活】4月1日が来るのが怖い」。

(写真:綾瀬さんのYouTubeより)

入社3週間前に内定を辞退した自分の話を、本人が淡々と語っただけの動画である。それが拡散され、彼女のチャンネルは一気に登録者数を伸ばす。現在、YouTube約13万人、TikTok3.2万人。「阪大卒ASDニート女」を堂々と肩書に掲げ、生きづらさ、ASD、容姿コンプレックス、整形、摂食障害について語っている。

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