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ライフ #神童だったあの子の今

「キラキラ商社」憧れた彼女が見た現実 摂食障害・醜形恐怖…"フツーに生きられない"原点は「ブスと何度も言われた」過去

11分で読める
(写真:綾瀬さん提供)
  • 新倉 和花 東京大学法学部卒・麻雀プロ
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2026年4月、KADOKAWAから初のエッセイ『「フツーに生きる」がなんでできないのかやっと気づいたから聞いて』を上梓。小学生時代から学業優秀、就活では大手企業から続々内定――そんな順風満帆な日々を送っていた彼女が、なぜ「フツーに生きる」ことができなかったのか、を本人の自己分析として綴った一冊である。同月にはAbemaPrimeにも生出演し、自身の体験を語った。

社会の評価軸の外側で居場所を見つけた

過去を振り返る動画のワンシーン(写真:綾瀬さん提供)

国語の全国1位と、算数の偏差値31。神戸女学院と、内定者懇親会の蕁麻疹。阪大塾入試3位と、ドクターストップ。五大商社内定と、ニート。綾瀬ちいさんの人生は、終始、両極端の数字とラベルを同時に背負って進んできた。

社会が用意してくれる物差し――学歴、内定、年収――でいえば、彼女は順当な勝者だった。ところが、その物差しが採点しない部分、たとえば飲み会で空気を読む能力、たとえば「結婚相手はこの会社の人」と笑顔で言える能力、たとえば総合職の男性社員を自然に立てる能力、そうした、数字にならない側の試験を、彼女はすべて落とした。

そして面白いのは、彼女が落とし続けた試験のすべてを、いまYouTubeのカメラの前で「私はこういう試験を落としてきました」と言葉にすることで、12万人を超える視聴者と本一冊分の読者を獲得している、という現在地である。

社会の評価軸の上で勝てなかった神童が、その評価軸の外側に立って、自分の落とし方を売り物にしている。教室の中では神童扱いされた子どもが、教室の外に出た瞬間に居場所を失い、最終的に教室そのものを描写する側に回ってしまう、というのは、この連載に出てくる多くの「神童だったあの子」と同じである。

彼女のチャンネルのコメント欄には、似たようなアンバランスを抱えた視聴者たちが、毎週、自分の話を書き込んでいる。

神童の行き先は、研究者でも、商社マンでも、教師でもない場合がある。自分が落ちた試験を、ひとつずつ言葉にしていく仕事、というものが、令和の側にはちゃんと用意されていた。綾瀬ちいさんの現在地は、そのことのひとつの証明である。

(写真:綾瀬さん提供)

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