「私たち国民ではなく、企業を向いた政治が続くのはなぜ?」「ああ、企業・団体献金が原因なのね」「だったら、それをやめて」という方向に世論をもっていかなければいけない。それなのに、そこまで強いメッセージが野党からもメディアからも出ていません。構造的な問題なのに、単にお金に汚いと批判するばかりです。
高市さんも完全に開き直って、「企業・団体献金を温存して、企業・団体のほうを向いた政治を続けます」といっているようなものです。国民のほうは気にしない、少なくとも企業・団体よりは後回しにするということです。企業が儲けたらおこぼれが回ってきて、そのうち国民の生活も楽になるでしょうというのが、その言い分です。
しかし、おこぼれが国民に回ってこないことは、アベノミクスで証明済みです。「いつまで同じことを続けるんですか」と私は思うけれど、延々と繰り返されるのは、安倍さんや高市さん個人の問題ではなくてシステムの問題だからです。石井紘基さん(故人、衆議院議員)がメスを入れようとした特別会計の問題にもつながりますが、官僚が有力政治家と大企業をつなぎ、政官財が完全に結託して既得権益中心の政治を続けているのです。
日本は「中負担・低福祉」の国
【泉】よく知られているように、北欧諸国は国民負担率が一定程度高いといわれています。一方で企業献金が禁止されていて、政治家が企業からお金をもらっていないから、国民のための政治ができています。負担は大きくても、いずれ自分たちにそれ以上のものが戻ってくるとわかっているので、北欧諸国の人たちはそれなりに高い負担率にも納得しています。
日本の場合はそうじゃなくて、税金にしろ保険料にしろ「お金を取られる」という感覚だから負担はしたくないし、負担したところで、どうせ返ってこないとみんな諦めています。もっとも、北欧型を目指したところで、「増税は嫌」という反応になるのでしょうが。
しかし私個人としては、政治家がちゃんと国民の信頼を取り戻したうえで、国民には納得のいく形で一定の負担を引き受けてもらいたいと思っています。北欧型なのか、フランス型なのかはさておき、信頼に基づいてみんなが助け合える社会がいいと思っているので、私は単純に減税が常にいいと思っているわけではありません。
ただ、今は国民の生活がきついから、経済対策としても国民がお金を使えるようにするところから日本の経済を回していかなければいけません。今、国民の生活は負担ばかりが増えて物価高にも直撃されて、相当苦しいことになっている。だからこそ、今の段階では、国民の負担を減らして使えるお金を増やすための減税が必要なのです。

