薬剤は自己注射薬であり、適切な温度管理が求められる。冷蔵保管のスペース確保、梱包や配送の手続き、クレジットカードや代引きなど複数の決済手段への対応など、事務的な負担が増えているという。
健康被害が生じた際のリスクも深刻だ。通常、保険診療で重篤な副作用がでて入院治療する場合であれば、「健康保険」と「救済制度」が両方使えるが、美容・ダイエット目的などの適応外使用で入院治療を要するレベルの重篤な副作用が生じた場合は通常「救済制度」の対象外となり、健康保険等による給付額を差し引いた「医療費、医療手当、障害年金」などが給付されないリスクがある。
副作用は下痢や嘔吐のほか「特有の口臭」も
最も頻度の高い副作用は悪心、下痢、嘔吐などの消化器症状であり、用量が増えるほど発生しやすくなるとされている。多くは軽度〜中等度で時間経過とともに軽快するが、治療中止の主要因でもあり、「SURMOUNT-1」試験では4.3〜7.1%が副作用で中止している。
また、添付文書には稀だが重篤な副作用として急性膵炎や胆嚢疾患(胆石症、胆嚢炎)が明記されている。大規模なメタ解析では、GLP-1受容体作動薬の使用は、プラセボと比較して胆石症のリスク比が1.46倍、胃食道逆流症(GERD)のリスク比が2.19倍となることが示唆されている。また、頻度こそ稀であるが、上腹部から背中に抜けるような痛みが特徴とされる急性膵炎のリスクも報告されている。
また、公式の臨床データには表れにくいが、臨床現場ではGLP-1受容体作動薬の利用時に「特有の口臭」を訴えるケースもある。これは、薬理作用である胃排出遅延(食べた物が胃にとどまる時間が延びる)によって胃の中で発酵が進むことや、急激な糖質制限に伴うケトーシスなど複合的な要因が考えられている。

