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中国人のフォアグラ熱が沸騰…一攫千金を狙う農家が大幅増産、世界首位のフランスを追い抜く勢いに

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写真は重さ2.9キログラムの冷凍ガチョウの肝臓を見せるリー・フォンシャン氏の妻。4月28日、中国安徽省火丘県にあるフォアグラ生産会社のガチョウ農場で撮影(写真:ロイター)

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リー・フォンシャン氏は1日に1食しか食べられない貧しい環境で育った。だが50歳になった今、中国東部のガチョウ農場で生産するフォアグラの収益が膨らみ、白いマセラティのSUV(スポーツタイプ多目的車)を乗り回している。

過去10年間、中国では高級食材だったフォアグラが手ごろな価格の人気商品へと変わり、リー氏のような農家の野心をさらに刺激している。

彼の会社は中規模のフォアグラ生産業者だが、昨年は300トンを生産し、今年は500トンへの大幅増産を計画している。これに対し、フランスの平均的な生産業者の規模は年間約10トンだ。

中国自体の通関規則を初めとして輸出障壁は多いが、リー氏は昨年、ドバイへ6000缶を出荷し、海外市場への一歩を慎重に踏み出した。

中国は生産量の急増、低コスト・低価格、そして世界的な需要拡大を背景に、輸出が増えるのは時間の問題だと国内農家は述べている。

「我々のフォアグラ製品は最終的に、海外の多くの食卓に並ぶだろう。それは避けられない流れだ」とリー氏は語った。

近く世界最大の生産国か

中国では「フォアグラ炒飯」のほか、生の薄切りを火鍋に入れて食べることもある。フォアグラを赤ワインやブルーベリーソースにくぐらせた、チェリー型・バラ型の冷凍デザートなど、革新的な新製品も人気を集めている。

また、中国のレストランでフォアグラは1切れあたり30―70元(約720―1670円)で提供されており、フランスの15―40ユーロ(約2780―7400円)に比べて格安だ。

中国人のフォアグラ熱は凄まじく、一部の業界アナリストや関係者は、中国が早ければ今年か来年にも世界最大の生産国になると予想している。

5人の業界アナリストの推計では、中国の昨年のフォアグラ生産量は最大1万4000トンに達した可能性がある。2024年比約30%の急増であり、10年前の推計値2000トンとは隔世の感がある。世界最大の生産国であるフランスの昨年の生産量は前年比3%減の1万5044トンだった。

フランスのフォアグラ産業団体CIFOGのファビアン・シュバリエ会長は「この急発展ぶりは心配だ。これほどの勢いで迫ってくるとは予期していなかった」と述べた。「彼らが市場に何を投入しようとしているのか、警戒する必要がある」。

フランスと中国は現在、世界全体の生産量の80%以上を占める。他にはハンガリーとブルガリアもかなりの量を生産している。

輸出契約

通関データとアナリストの試算によると、中国の生産量のうち昨年輸出されたのは5%未満にすぎない。ワクチン接種後に鳥の体内に約300種類の化学物質が存在しないことを証明するよう求める中国税関の厳格な規制が、輸出の障壁となっているためだ。

しかし多くの規制をクリアすれば海外の利益率がはるかに魅力的なことを知っている中国の生産者は、海外進出に強い意欲を示している。

いくつかの輸出契約が成立し始めている。

アヒルのフォアグラ生産が年間1500トンと中国最大の「吉林正方農牧」のゼネラルマネジャー、ミン・ウェイ氏は年内に東南アジアと欧州向けに輸出する準備を進めていると述べた。

国営メディアでは、韓国への輸出契約を結び、日本、ロシア、東南アジアの企業とも交渉中だとする業者の話も報じられている。

「中国は、東南アジアや中東といった新興のフォアグラ市場を中心に、一部の海外市場で間違いなくフランスの強力なライバルになるだろう」と中国の農業コンサルティング会社「北京東方艾格農業諮詢(BOABC)」の家禽(かきん)アナリスト、ジョウ・モンハン氏は分析する。

CIFOGのシュバリエ会長も、国際見本市に少数ながら中国生産業者が姿を現し始めており、それらの製品が東南アジアに定着する可能性があると語った。

大きな肝臓と過酷な労働

中国の生産急増は、手厚い補助金に助けられた面もある。リー氏の場合、インフラコストやワクチン費用の50%以上が補助金で賄われている。それだけでなく、より大きな肝臓を生み出すほどの勤勉な働きぶりにも負うところが大きいという。

同氏の農場ではスタッフ1人当たり400羽以上のガチョウを担当し、ふ化から食肉処理までを管理する。処理までの100日間の最後の10日間、スタッフはほぼ不眠不休で働き、1羽ごとに1日6回のガバージュ(強制的に大量の餌を食べさせるフォアグラ生産工程)を行う。

2.9キロもの巨大な肝臓を誇らしげに見せる妻の傍らで、リー氏は「過酷な労働なので、欧州の人々は今では大量のガチョウを育てることができない」と語った。

リー氏の農場で生産されるガチョウの肝臓は1キロ以上。フランスではフォアグラの大半がアヒルから作られ、肝臓の重さは通常500ー550グラム程度で、ガチョウの肝臓でも一般に750グラム未満だ。

リー氏はまた、人間よりも集中的な給餌作業をうまくこなせるロボットの開発に向け、ロボット企業と協議していると付け加えた。

フォアグラは、ガバージュを巡って動物福祉の観点から長年物議をかもしてきた。一方、業界関係者の多くは、アヒルやガチョウには嘔吐反射がないため、給餌管を挿入しても人間の場合ほどのストレスにはならないと主張している。

中国の生産者らは、動物愛護への懸念が成長の足かせになるとの見方を一蹴。中国国内で反対の声はほとんど聞かれず、世界中でフォアグラの需要は高まる一方だと語った。

その証拠として、複数の関係者は、中国の通関規則を回避するため、中国産フォアグラが深センや香港を経由して海外に相当量密輸されていると指摘。匿名を条件に取材に応じた4人の関係者によると、フォアグラは他の商品に偽装されたり、他の商品に混ぜられたりして密輸され、その量は月に最大10トンに上ることもあるという。中国の農業省と税関当局は、この密輸に関するロイターのコメント要請に応じなかった。

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