手を動かせない近藤さんは、顔の動きだけでパソコンを操っている。パソコン上部に設置した装置から赤外線が出ており、鼻に小さなシールを貼ってその光を反射して操作する仕組みだ。ひとつのショート動画を完成させるのに、約1日かかるという。
「投稿を始めてから、割とすぐに伸びた」という近藤さん。視聴者からは、障害を負って車椅子になった男性と黒人青年の交流を描いた映画『最強のふたり』みたいだ、というコメントが多く寄せられた。なかには、「動画で興味を持って介護職につきました」という人もいる。
近藤さんは動画制作の腕を買われ、AJU自立の家の活動を伝える動画編集を依頼されている。
「無責任に外国人を入れていたら問題も起きるのかな」
近年、外国人排斥のムードが高まっているのも事実だ。特に、介護現場でトラブルを起こす外国人労働者について、近藤さんはどのように感じているのだろうか。
「介護って人間同士のコミュニケーションなので、言葉がわからないのであれば課題だとは思います。ただ、人がいないからって無責任にどんどん外国人を入れていたら、そういう問題も起きるのかな。教育できる環境をしっかり整備できれば、問題も減っていくだろうと思います」(近藤さん)
近藤さんは、「教育が大事」だと繰り返した。介護現場に任せきりにするのではなく、教育体制を整えることが欠かせない。
さらに、「外国人を雇う側も利用者側もそれなりに覚悟が必要」と付け加えた。外国人スタッフに慣れている近藤さんでも、「実際、僕も大変ですよ」とこぼす。近藤さんは、決して手放しで外国人を歓迎しているのではない。言葉や文化の違いによる苦労もリアルに経験している。しかし、そういった壁があることを含めて、覚悟した上で外国人を受け入れることが大事だと語る。
近藤さんは近々、現在暮らしている名古屋市ではなく、愛知県の三河地方でAJU自立の家の活動に加わる予定だ。しかし、そこには「介護の地域差」の課題があるという。
名古屋のような都市部は財源があるため、介護事業所も集まりやすく、利用者もサービスが受けやすい環境が整っている。しかし、財源に余裕のない地方では、福祉に割ける予算が限られ、なかなかサービスが浸透しにくい現実がある。

