AJU自立の家の野形明広さんは次のように話す。
「障害のない人が自分で決めて行動するのと同じように、どんな重度障害者も自分で自分のことを決めるのが大事だと考えています。それは、介護される方法やヘルパーにやってもらいたいことも同じです。そのため、利用者自身で指示を出すことが前提なんです。近藤さんはその部分を理解して、自分でヘルパーを育てる、という意識でやられていますね」
1990年に設立されたAJU自立の家は、ヘルパーステーションやデイセンターを運営する愛知県名古屋市に拠点を置く団体だ。誰もが住みやすい福祉のまちづくり、ユニバーサルデザインの促進などを行政に働きかける活動にも取り組んでいる。
2020年頃からバングラデシュ人に多くの活動をお願いするようになったAJU自立の家だが、言語面でのトラブルは「やはりある」という。利用者が「言葉を理解してくれない」と訴えた場合、ヘルパーステーションの職員が間に入り、お互いの話を聞く。具体的にどんなところが伝わらないのか、丁寧にすり合わせる。
「『わかった?』という聞き方だと、『わかった』と答えてしまうことがあります。本当に理解しているか、内容を繰り返してもらったり、別の言い回しで説明したりしながら伝えています」(野形さん)
AJU自立の家では、言語面の注意点を利用者にも伝えている。こういった働きかけのおかげか、細かいトラブルはあるものの、大きな問題には発展していない。
近藤さんは、外国人ヘルパーがいることに対して「宗教や文化の違いを学ぶおもしろさがある」と語る。
SNSには、バングラデシュ人ヘルパーと一緒に、彼らの国の料理を提供するレストランを訪れている様子が映る。
野形さんは「バングラデシュ人はとても人懐っこくて、フレンドリーな人が多い」と言い、近藤さんも「彼らを連れて外出すると、周りの人からかわいがられて場の空気がよくなる」と笑う。
近藤さんもまた、外国人ヘルパーに影響を与えている。来日当初は自動車関係の仕事に就くことを目指し、登録ヘルパーをしている人がいた。しかし、近藤さんのもとで一緒に活動するうちに介護の仕事に興味を持ち、その人は今、介護施設で働いている。
映画『最強のふたり』みたいとSNSで話題に
近藤さんが動画発信を始めたのは、エリックさんがヘルパーになったことがきっかけだった。
「僕たちはもともと友だちだったので、一緒にいるのにぼーっと過ごすのもアホらしいし、何かやるか、とTikTokを始めました。BMXやスノボをやってるときに動画をつくっていたので、やり方も知っていました」(近藤さん)

