しかし1トップのヴィクトル・ヨケレスが、戦いの効率を最大限に高めていた。彼がボールを収め、楔を受け、自らゴールする。存在そのものが戦術に近い。
1―3で勝利したウクライナ戦の3点は、すべてヨケレスが絡んでいた。先制点はヨケレスがロングボールを収めた後、左サイドからのクロスを自ら沈めた。2点目もGKからのキックに誰よりも早く反応し、裏に抜け出すと、一人で決めてしまった。
3点目は敵のバックパスをかっさらい、自陣から敵陣まで入り、GKに倒されてPK判定で、これも自ら決めた。
3―2で勝利したポーランド戦も、ヨケレスが縦パスを受けたところ、ディフェンスラインを撹乱し、一度消えてからクロスからの先制点につながった。また、決勝点は劣勢ながら、終了間際に分厚い攻めを見せていたところ、最後はヨケレスが押し込んでいる。ストライカーとしてのパワーやうまさは、アーセナルで見せているように本物だ。
日本は「システムの運用」に関しては、一枚も二枚も上手
日本は、こうした相手を得意としていない。今年3月の英国遠征でスコットランドには0―1で勝利したが、守備を固めた相手をなかなか攻め崩せなかった。
そこにヨケレスのように楔になって、裏を狙い、一人で決められるストライカーがいる場合、さらに混乱する恐れがある。ヨケレスだけでなく、同等の実力があるリバプールのFWアレクサンデル・イサクの2トップという選択もあるだけに……。
しかし、オランダ、チュニジアで1勝1分けにできていたら、第3戦目は引き分けで十分だろう。無理して勝つ必要がない場合、有利な状況で戦える。たとえ負けても、勝ち点4を取っていたら、ラウンド32進出の可能性は高いのだ。

