――選挙を免罪符と見なし、「禊を済ませた」とよく言います。
選挙に勝てばすべてが許される、そして何をやってもいいというわけではありません。にもかかわらず、選挙に勝ちさえすれば、反省はなくても、あたかも有権者から全権委任されているような錯覚を抱いている議員も少なくない。
これでは政治はクリーンにはなりません。それどころか、選挙のやり方がますますひどくなりかねない。実際に今年2月の衆院選から、その傾向が顕著になりつつあると心配しております。
日本の選挙制度が抱える大問題
――根本的な原因は、政治が歪んでいるということですか。
そもそも小選挙区制度がよくありません。1つの選挙区から当選者が1人だけだと、勝者総取りとなり、風次第で議席が激変します。そういう意味で、小選挙区制度はSNSの影響を最も受けやすいといえます。
しかも、小選挙区制度では公認権を握る党幹部に権力が集中してしまいます。これでは、出馬するには幹部の顔色をうかがうことが何より重要になり、同じ党内でダイナミックな政策議論で競い合うことはできなくなります。だから、現行の小選挙区比例代表並立制度が1994年に導入されたときに私は反対したのです。
また、国会議員票と党員・党友票が同数という、現在の自民党総裁選の仕組みもよくありません。国会議員の背後には、数万人もの有権者が存在します。
昨年の総裁選では1回目の投票で高市早苗さんは25万0931票、林芳正さんは13万0888票の党員・党友票を獲得し、その差は約12万票でした。一方で、議員票は高市さんが64票、林さんは72票と、その差は8票ですが、その背景に存在する有権者の数を換算すれば、林さんが獲得した票の価値は高市さんの票の価値を上回ります。
――ということは、昨年の総裁選で高市さんは3位となり、決選投票は小泉進次郎さんと林さんとの戦いであるべきだったと。
しかも、自民党の党員・党友票には特定の思想を持った組織が一定数存在していて、それが大きな影響を与えます。彼らが応援すれば、党員・党友票が動くのです。
最大与党である自民党の総裁は、通常はそのまま首相になります。問題なのは、日本を代表する首相がこういうプロセスで選ばれてしまうということです。


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