私が総務相在任中に行われた24年の衆院選と25年の参院選では、プラットフォーム事業者に対して偽・誤情報等に適切に対応するよう要請しました。また、昨年1月から国民のリテラシー向上に向けて官民の幅広い関係者による取り組みを推進する「デジタル・ポジティブ・アクション」というプロジェクトを始めました。
加えて、自民党や中道改革連合など与野党で構成される「選挙運動に関する各党協議会」でも、偽・誤情報対策についての議論が行われていると承知しており、大いに期待しているところです。
「勝ちさえすれば何でもいい」という風潮
――しかし、ネットでのデマやフェイクニュースはなかなかなくならない。かえって深刻化しているようにさえ思えます。しかも、政治がそれを利用しようという傾向すら見られます。
確かに、私が衆院選で初当選した40年前と今とでは、ずいぶん政治の風景が変わりました。当時も意見の対立はありましたが、みんなが遠慮なく自由に議論できた。そして、間違いだと気づけば、潔く訂正していました。
ところが現在は、そういうことすら行えない雰囲気です。自民党内で忌憚なく発言しているのは、岩屋毅さんや私をはじめとした限られた少数ではないでしょうか。そういえば、岩屋さんも今年2月の衆院選でずいぶんひどいデマやフェイクニュースを流されました。あの状況でよく勝ち抜いてきたと思います。
問題は、ネットにおける流布が政治的対立ではなく、政治的悪用を目指しているように思えることです。選挙が誹謗中傷にまみれ、政治がデマに左右されるとしたら、民主主義は死んでしまいます。しかも、世界中が自国中心主義になっていて、責任あるリーダーが極めて少なくなっています。
――政治家に矜持がなくなったということですか。
私が若い頃は、選挙では他陣営のことは誹謗中傷しないというのが暗黙のルールでした。もちろん政策論争は行いましたが、人格攻撃などはしなかった。ましてや匿名でデマやフェイクニュースを流布することなど、考えもつかなかった。
しかし残念なことに、今は「勝ちさえすれば何でもいい」という風潮があるように思えます。ましてやSNSの悪用など、言語道断だと思います。


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