実務の視点でいえば、ここに示した値上げ幅は、企業のIT予算を組むうえで無視できない水準だ。社員のパソコンを15%から20%高い価格で買い替えるとなれば、台数次第で数百万円単位の差が生まれる。次の調達時期をどう設計するかが、いまコスト管理の現実的な論点になっている。
いまが「底値」かもしれない理由
では、私たちはどう受け止めればよいのか。
メモリの高騰は、残念ながらすぐには収まりそうにない。専門家のあいだでも、26年のうちに値段が落ち着く見込みは薄いとみられている 。値上げが避けられないのなら、答えはひとつだ。これから上がるのなら、いまが一番安い「底値」かもしれない。
もちろん、必要のないものを慌てて買う必要はない。ただ、近いうちにスマートフォンやパソコンの買い替えを考えているなら、価格が動く前のいまが買い時のひとつといえる 。企業にとっては、来期に予定していた機器更新を前倒しする判断が、結果的にコストを抑える選択になりうる場面だ。クックCEOの異例の警告は、私たち消費者と企業にとって、早めに動くためのヒントを先に渡してくれたとも読めるのである。

