しかし、月に基地を建設する計画も本格化しつつある2020年代では、地球外環境でのQOLを高める技術開発も重要である。オリオン宇宙船のトイレ故障の原因はまだ究明されていないが、宇宙空間や月面で、よりストレスの少ない居住環境を実現するため、トイレの改善は続けられる。
ちなみに、アルテミス2号のミッションコマンダーを務めたリード・ワイズマン氏は、帰還後の4月16日に行われた記者会見で「あのトイレは素晴らしかった」「あの性能は抜群だった」と述べ、トイレそのものではなく、液体を船外に排出する配管で凍結が発生したことが問題だったと強調した。
またNASAは、アルテミス3号ミッションまでにこの問題を解決するとしている。
アルテミス3号以降の計画はどうなる
NASAは、アルテミス2号ミッションの打ち上げ前に、アルテミス3号と4号のミッション内容を改訂し、それぞれの打ち上げ時期を2027年と2028年に設定した。
新しいアルテミス3号ミッションでは、予定されていた月面着陸をアルテミス4号に変更し、そのかわりに地球低軌道上で月面着陸ミッションで必要となるオリオン宇宙船と月着陸船のドッキング試験を行うこととした。この月着陸船は現在、SpaceXとBlue Originの2社が開発を進めており、スケジュール的に間に合えば、オリオン宇宙船は2機の月着陸船とのドッキング試験を、一度のミッションでこなすことになる。
ただ、Blue Originは5月28日、月着陸船の打ち上げに使うNew Glennロケットが試験中に大爆発する事故を起こし、ロケットを失っただけでなく発射台にも深刻な損傷を受けてしまった。
これにより、同社がアルテミス3号ミッションまでに準備を整えることが難しくなったのではないかとの見方も広がっているが、同社は「月着陸船およびその他の着陸装置のサブシステムの製造は順調に進んでいる」と述べ、「アルテミス3号に向けてロケットを完成させ、2027年の打ち上げ準備が整うことを期待している」とした。

