とはいえ、低層階と高層階、南向きと北向きの出現率は物件数が多ければ、確率は均されるものだ。ゆえに、階層や向きでの補正は行わなくても信頼性のある数値が算出できると考えている。
その結果、2026年5月の物件別成約単価は前年度と比較して平均105%となった。値下がりどころか、値上がりしているということだ。物件棟数は107物件で、そのうち66物件(62%)が値上がりしている。
たまたまかもしれないので、2026年4月も同じ分析をした。物件棟数は121で、そのうち77物件(64%)が値上がりしており、前年同月比は108%だった。
同様に、2026年3月も同じ分析をした。物件棟数は150で、そのうち97物件(65%)が値上がりしており、前年同月比は108%だった。
新築物件を買い占めていた「転売ヤー」
このことから、都心3区の単純平均した単価は下がっているが、物件単位で単価の変動を見ると値上がりしていることがわかった。これは、グロス価格が安い物件の取引だけが堅調で、湾岸のタワーや好立地の高額帯・高単価帯は取引が急減し、以前より取引されていないことが分かる。
こうなった経緯を理解しておく必要がある。都心でマンションバブルが生まれていたが、それは資産性が高い物件は値上がりするという筆者が先駆者として主張してきた法則性を背景に、「転売ヤー」がそうした新築物件を購入して買い占め、大幅値上げして転売をかけており、値上がりしていた事実がある。
詳しくは、「都心マンション価格高騰に急ブレーキ…『売れない在庫』急増で"転売不動産バブル崩壊"前夜を思わせる不気味な兆候」で書いたので参照されたい。
不動産バブルは過剰融資によって起こるが、千代田区が不動産協会に転売規制の申し入れをしたり、国会答弁でマンション価格高騰が外国人の爆買いのせいではないかという問題提起から、国土交通省・金融庁が実態把握につとめたことに端を発する。結果として、金融庁がそうした資金に口先介入したことで資金が流れなくなり、買い手不在の市場に変貌したと見ることができる。

