この数字はサンプル数が各月で200程度あるから、信憑性が高いように見える。しかし、中古成約事例のローデータから計算しているのにはわけがある。
まず、成約単価が前月比-13%に対して、成約価格が-20%なので、専有面積は7%小さくなっている。実際には、57.5㎡から 53.7㎡に-3.8㎡狭くなっている。これだけではなく、平均築年数も20.6年から24.9年に4.3年古くなっている。月単位でこれほど変わることは珍しい。単純平均ではサンプルの属性や分布が同じであれば比較する意味があるが、そうはなっていないのだ。
次に、取引件数が1か月で24%減少している。中でも1億円未満の取引件数は7%減にとどまっているのに対して、1億円以上になると37%減と大幅に減少、2億円以上が50%減、3億円以上は61%減と高額帯ほど大きく減少していることがわかる。
成約価格が20%減だったのは高額帯の取引がかなり低調になっていることを表す。都心3区でも3000万円も平均価格が下がると、物件の立地やタワーなどの属性がかなり違う可能性がある。
タワマンの取引件数が半減した意味
そこで、タワー(建物階数20階以上)の取引件数を調べると、前月比47%減となっていた。取引された平均建物階数は、4月の23.2階から5月は18.4階で、4.8階も低くなっている。同様に、平均総戸数は307戸から216戸に91戸減少している。
つまり、タワーの取引件数が半減し、それ以外の取引が堅調に続いていることを意味する。タワーは多くの場合、総戸数200戸以上の「大規模」となるが、大規模以外の取引が増えているのだ。
こうなると、専有面積あたりの単価とはいえ、単純平均してもタワーと非タワーを比較して価格が下がったと言っているにすぎなくなる。こうした場合は、より正確に分析する方法がある。
不動産において、物件ごとにグレードが異なる。同じ最寄り駅でも、ハイブランドの自宅用の分譲マンションと投資用のワンルームマンションでは単価が違うのは当然である。また、都心3区といっても、湾岸で取引が多かったものが激減すると立地は違ってくる。これらを補正するのに最も良い方法は物件単位で単価の変化を分析することになる。
こうして、2026年5月の物件別成約単価を前年である2025年の単価と比較してみた。こうすると、物件グレードは同じになる。しかし、まだ同一物件内での住戸の階数や向きなどによって単価水準は変わってくるものだ。

