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「マンジャロは危ない」という人に欠けた視点 アメリカ"GLP-1治療"のリアル――ボストン在住の日本人医師が語る"変化"

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更年期の肥満
肥満治療で使われるGLP-1。日本と世界とではその"視点"が異なるようです(写真:beauty-box/PIXTA)
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確かに現時点では日本でGLP-1薬による肥満治療をしようとすると、その多くは自由診療で、高額になってしまいます。ただし患者さんが支払う費用の多くは薬代であり、そのすべてが医療機関の利益になるわけではありません。

何より診療は薬を処方して終わりではなく、既往歴、家族歴、体重の変化、食事、睡眠、副作用、筋肉量の維持、リバウンド対策などを1つひとつ確認しながら治療を進めます。

GLP-1薬は量の調整をはじめ使い方が難しいうえ、患者さん、ときには医療者側にも誤解が多い薬です。そのため、安全に、そして正しく使ってもらうためには、通常の外来以上に時間をかけて説明する必要があります。実際、初回の説明だけで30分ほどかかることも珍しくありません。5分で外来を終わらせられるほど、簡単な薬ではないのです。

だから筆者は、「GLP-1診療=大儲け」という見方には少し違和感があります。

肥満症を診る病院が少ない

そもそも、日本には肥満症を診療できる病院そのものが十分あるとは言えません。

以前、地方へ転勤される患者さんを紹介する医療機関をインターネットで探した際、検索結果の多くは肥満外来ではなく、美容クリニックでした。もちろん美容医療を否定するつもりはありません。でも、もし高血圧の患者さんが病院を探したときに、ネット上に美容外科ばかり表示されたら、違和感を覚えるのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、肥満症は見た目の問題ではないのです。糖尿病、脂肪肝、高血圧、睡眠時無呼吸症候群、心血管疾患につながる慢性疾患です。本来必要なのは、一部の専門施設だけに診療を集中させることではなく、地域の内科医やかかりつけ医が、高血圧や糖尿病と同じように肥満症も診療できる環境を整えることです。

アメリカで肥満診療は、特別な施設だけが行っているわけではなく、「高血圧を診る」「糖尿病を診る」「そして肥満も診る」。そんな形で、日常のプライマリケアの中に組み込まれています。

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