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肝臓が白く「フォアグラ」化していた…動物園のアヒルはなぜ突然死したのか 体をむしばんだ"ふれあい展示"の代償

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アヒル
“命の学び”につながるふれあい展示では、動物たちの負担も考えなければなりません(写真:HIME&HINA/PIXTA)
  • 中村 進一 獣医師、獣医病理学専門家
  • 大谷 智通 サイエンスライター、書籍編集者
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ウサギの歯は、私たちの髪の毛と同じように、生涯伸び続けます。通常、硬いものを咀嚼(そしゃく)することで適度にすり減っていきますが、何らかの理由で歯が過剰に伸びてしまうと、頬や舌の粘膜を傷つけて、痛みを引き起こします。

不正咬合は完治が難しく、継続的なケアが必要になります。このウサギも、獣医師さんが定期的に歯を削って管理していたそうです。

ただ、不正咬合以外に大きな健康上の問題はなく、元気に過ごしていました。ウサギの寿命は一般に5〜10年とされますから、14歳まで生きたこの個体は、相当うまく飼われていたのでしょう。

高齢になっても、無理のない範囲で「ふれあい展示」に出ていたそうです。しかし、13歳を過ぎた頃から少しずつ食欲が落ち、14歳になってからは餌をほとんど食べなくなりました。

獣医師さんが血液検査をしましたが、異常は見つかりませんでした。いよいよ先が長くないというときになって、大好物だったリンゴを与えたところ、ウサギはおいしそうに食べたそうです。そして、その数日後、静かに息を引き取りました。

14歳のウサギの死因

病理解剖を行うと、事前に聞いていたとおり不正咬合がありました。しかし、やせていたことと加齢による組織の変化を除けば、死因となるような目立った病変は見つかりません。総合的に考えて、高齢による自然死、すなわち「老衰」だと考えられました。

ただし、病理診断としては、老衰をそのまま死因とはしません。病理診断書には、不正咬合や、加齢性の臓器の萎縮や色素沈着、線維化など、観察された所見を記載し、そのうえでコメント欄に「老衰で亡くなったと考えられます」と書いて、依頼者さんにお渡ししました。

亡くなった動物が高齢であり、生前や死亡時の状況に大きな異常は確認されず、死因となる目立った病変が見つからないとき、ぼくは病理解剖の依頼者さんに「老衰で亡くなったのでしょう」とお伝えするようにしています。

そう伝えなければ、依頼者さんには「飼い方が間違っていたのだろうか」「なぜ死んでしまったのだろうか」という不安や後悔が残ります。そうした気持ちを少しでも和らげ、安心してもらうためです。

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