さらに、メンテナンスで不正を行っていたことを組織ぐるみで隠蔽しようとしていた可能性も浮上してきた。
まず、事故現場付近のレール溶接に関する技術文書に明らかな矛盾が見つかり、改ざんの形跡が見つかったことが判明した。記録されていた書類は、本来必要な責任者の署名がされておらず、簡単に修正ができる状態となっていた。
そして、事故から数日後の1月22日深夜から翌23日早朝までの間に、Adifの作業員が証拠となる資材を密かに持ち出していたことも明らかになった。現場は規制されており、立ち入りは許可されていなかったが、作業員たちは上司の指示に従ったと持ち出したことを認めている。
事故の証拠品を無許可で持ち出し
Adifは、証拠品が現場に放置されることで劣化するのを防ぐためにやむをえず撤去したと、その正当性を主張したが、当然ながらいかなる理由があっても司法の許可や指示があるまで、一切の証拠品を動かすことは禁じられている。動かした証拠品の中には、事故調査委員会が今後の調査の中で分析する予定だったものも含まれていた。

組織ぐるみで不正が行われていた可能性が浮上したことで、この問題はスペイン国内にとどまらず、EU(欧州連合)も調査へ乗り出す事態となった。
欧州検察庁(EPPO)は3月20日、EUの資金に関わる不正の可能性について、正式な調査を開始したことを確認した。EUがこうした調査を行うことは異例で、現段階では詳細な情報は公表できないとしているが、事故現場であるアダムス近郊の高速新線区間の維持管理に充てられる予定だった資金が対象とされている。

