つまり、食品ラベルに書かれたカロリーではなく、自分の体が実際に取り込んだエネルギー量を測るという発想だ。同じ500キロカロリーの弁当を食べても、吸収量は人によって異なる。パーソナル通信事業部長の川井健氏は発表会で「パーソナルなカロリー測定と言える」と述べた。
炭水化物は食後30分〜2時間程度で反映されるが、肉類など消化に時間がかかる食品は最大10時間ほどかかる場合もある。リアルタイムの即時表示ではなく、消化・吸収の過程を追いかける仕組みだ。
HEALBE社は2012年創業で、本社は米カリフォルニア州レッドウッドシティに置く。米VentureBeatによると、前身となるロシアの研究チームが1999年から非侵襲のグルコースモニタリング技術を開発しており、HEALBE社がその技術資産を引き継いだという。2014年にクラウドファンディングで初代スマートバンド「GoBe」を発表し、100万ドル以上を調達した。
精度については、2018年にカリフォルニア大学デービス校のFoods for Health Instituteが18〜40歳の27名を対象に14日間の検証を実施し、約89%の精度を確認している。中国・広州紅十字病院でも同水準の結果が出た。日本の食品表示基準ではカロリー表示に20%の誤差が許容されており、川井氏は「参考になる水準だ」と説明した。
シャープはこのFLOW技術について、日本国内での独占ライセンスを取得している。HEALBE社は自社ブランドでスマートバンド「GoBe」シリーズを販売してきたが、スマートウォッチへの搭載は今回のシャープ製品が初めてだ。
決済よりセンシングを選んだ割り切り
からだメイト Watch(税込5万9400円)のスペックを見ると、割り切った設計が目立つ。OSはWear OSではなくシャープの独自OS。おサイフケータイやNFCによる決済機能も搭載していない。質疑応答で決済非搭載の理由を問われた商品企画部課長の田中陽平氏は「ユニークなセンシングとUXに特化した」と回答した。
その代わり、カロリー測定と水分モニタリングという独自機能に加え、シャープならではのUIを盛り込んだ。「サーキットビュー」と名付けた画面表示は、朝は睡眠結果と天気、日中は歩数やカロリー収支、夜は翌日の予定といった具合に、時間帯に応じて表示内容を自動で切り替える。操作せずに必要な情報が目に入る設計だ。

