大きめのバックパックを背負うと腰のバッテリー部に干渉し、本体がずり落ちることがあった。別売の上半身ハーネス(2万2800円)を使うとフィット感が大きく改善する。装着していた参加者は明らかに安定していたが、追加出費にはなる。
バッテリーは約2時間半の登山で7割を消費した。ハイパーモードで急坂を登ったり、負荷を加えるフィットネスモードで遊んだりした結果なので、エコモード中心なら4時間程度は持つとみられる。ただし富士山のような長い山行では予備バッテリーが2〜3個は要るだろう。予備バッテリーは1万8800円からだ。モーターへの連続負荷で熱停止する場面もあった。
外骨格が14万円になった理由
業務用の外骨格は高い。サイバーダインのHALやパナソニック子会社ATOUNの製品は数十万円から数百万円する。全身を覆うタイプが主流で、装着にも手間がかかる。それがなぜ14万円になったのか。
Hypershell(極殻科技)は2021年に中国・上海で設立されたスタートアップだ。社名は「攻殻機動隊(Ghost in the Shell)」に由来する。Kickstarterで約123万ドルを2600人超から調達し、コンシューマー向け外骨格の商品化に踏み切った。25年のCESではロボティクス部門のBest of Innovationを受賞し、知名度が一気に広がった。アメリカではすでに1万台以上を販売している。
低価格の背景は、アシスト範囲を足の持ち上げに特化したことにある。全身を覆う必要がないため構造が簡素になり、センサーとAIで制御を最適化した。本体重量は1.8〜2kgに収まっている。装着に専門知識は要らず、ワンボタンで操作できる。
日本では4モデルを展開する。エントリーの「Go」が13万9800円、筆者が試した「Pro」が17万9800円、カーボンファイバー素材の「Carbon」が25万9800円、最上位の「Ultra」が32万9800円だ。USB Type-C充電に対応しており、モバイルバッテリーからも充電できる。
日本では整形外科クリニックでの体験会が始まったほか、Amazonやau Online Shopでも購入できる。蔦屋家電+では実機の体験も可能だ。登山やハイキングだけが用途ではない。広い展示会場を1日歩き回る営業職や、足腰に不安を抱える高齢者、旅先で長い距離を歩く観光客など、「歩く」に負担を感じる場面は日常にいくらでもある。電動アシスト自転車が「漕ぐ」のハードルを下げたように、外骨格が「歩く」のハードルを下げる余地は大きい。
体に着ける製品だけにサイズの合う・合わないがあり、試着できる場の拡大が普及には欠かせない。2026年5月には動作の応答速度を64%高めた新世代モデルも海外で発表された。製品の進化は速い。下り坂の認識やバッテリーには課題が残るが、高尾山の石段であの足の軽さを味わった後では、次の山行にも持っていきたくなった。

