利用されるAIモデルはローカルにあるAFM 3 Core、AFM 3 Core Advanced(これは 『最もパワフルなオンデバイス対応』と呼ばれ、iPhone 17 Proシリーズ、iPhone Air、12GB以上のRAMを搭載したiPad(M4)以降、Mac(M3)以降、そしてVision Pro(M5)でしか動作しない)、もしくはクラウド上にあるAFM 3 Cloud、AFM 3 Cloud Pro、ADM 3 Cloud(Image)に振り分けられる。
クラウドはアップルが用意した完全にエンドtoエンドで暗号化されたPrivate Cloud Compute(PPC)というスペースが使われる。PPCには、今回新たにGoogle Cloudのデータセンターと、NVIDIAのGPUが使われることが発表された。
去年までは、PPCは自社クラウドとApple Siliconで動作すると言われていたのだが、そこは他社のサービスを利用することにしたようだ。とはいえ、もともと非常に限られたデータだけをクラウドに送る仕組みで、それも暗号化されており、アップル自身でさえアクセスできないような仕組みになっているので、『完全にプライバシーを担保したままAIを使う』という難題を解決していることに変わりはない。
EUのDMAとアップルのプライバシー哲学はなぜ衝突するのか
しかし、EUにとってはこの『完全なプライバシーを守る仕組み』が問題になってしまう。
EUのDMA(デジタル市場法)は、平等な市場競争を確保するために他社のAIにも個人情報やディスプレイに表示されているデータ、カメラやマイクのデータへのアクセスを求めている。しかし、上記を読めばわかるように、そんなことをしたら、アップルが仕組み的に守ろうとしているユーザーの個人情報がすべてAI各社に渡ってしまう。
アップルのワールドワイドマーケティング担当上級副社長であるグレッグ“Joz”ジョズウィアック氏に話を聞いたところ、彼は過去数年にわたって力を注いできたSiri AIを提供できないことに関して「非常にフラストレーションを感じ、心を痛めている(heartbroken)」と述べていた。
アップルは百歩譲って、他社AIが安全に機能にアクセスできるような機能として、『Trusted System Agent(信頼できるシステムエージェント)』というソリューションを提案し、18カ月かけた段階的導入も示したが、欧州委員会側はあらゆる提案を拒否したという。
一方、欧州委員会側は「Siri AIがEUで提供されないのはAppleの判断であり、DMAのせいではない」としており、互いの歩み寄りは見られない。
アップルが大切にしているのは「個人情報の完全な保護」であり、欧州委員会の主張は「Siriだけが深いシステムアクセスを持ち、他社AIは持てない」という不平等さだ。

