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「身を売る女性はすでに人権を失っている」朝ドラ『風、薫る』りんのモデル"大関和"が参加した「廃娼運動」の裏側

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娼婦
(写真:天空のジュピター / PIXTA)
  • 真山 知幸 伝記作家、偉人研究家、芸術修士(MFA)
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結局、借金がなくなったとて、行き場も職も持たない女性たちは、「貸座敷」と名を変えた同じ場所で、「自由意思による契約」という名目のもと、以前と変わらぬ日々を送ることになった。人権への配慮からではなく、外国からの批判をかわすために作られた「解放」は、芸者や遊女たちの暮らしを何一つ変えなかったのである。

大関和も女性の地位向上をめざす社会運動に携わった

それでも社会の外側では、少しずつ声が上がり始めていた。明治15(1882)年、群馬県議会で廃娼の建議が採択される。自由民権運動の広まりとも重なって、公娼制度を問い直す議論が各地に広がっていく。

明治19(1886)年には、矢島楫子を中心とした東京婦人矯風会(後の日本キリスト教婦人矯風会)が発足。キリスト教の信仰を背景に、廃娼・禁酒・一夫一婦制を訴える女性たちの組織的な運動が、ここから本格的に動き出すこととなる。

りんのモデルとなった大関和は、「明治のナイチンゲール」と呼ばれた近代看護の先駆者でありながら、その活動は病院の中だけにとどまらなかった。

大関は日本キリスト教婦人矯風会の活動にも深く関わり、廃娼運動・禁酒運動・婦人参政権運動など、女性の地位向上をめざす社会運動に携わった。

明治23(1890)年には、キリスト教系の高田女学校(現・新潟県上越市)に赴任。伝道活動とともに廃娼運動を熱心に続けている。

朝ドラ「風、薫る」でのりんや直美もまた、病院内の問題のみならず、社会が抱える病理とも直面し始めた。葛藤を抱えながら、どんな結論を見出していくのだろうか。

放送を重ねるに連れて、ドラマの反響が高まっているだけに、今後の放送が楽しみだ。

【参考文献】
フロレンス・ナイティンゲール 著 小玉香津子・尾田葉子訳『看護覚え書き』(日本看護協会出版会)
青山誠著『大関和 看護に人生を捧げた日本のナイチンゲール』(角川文庫)
田中ひかる著『明治のナイチンゲール 大関和物語』(中公文庫)
田中ひかる監修『大関和 明治のナイチンゲールたち』(平凡社)
櫻庭由紀子著『戦う白衣の天使 大関和・鈴木雅ものがたり』(内外出版社)

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