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なぜ近鉄は、日本最大の私鉄へと成長できたのか。
路線の成り立ち、車両の進化、観光開発、多角経営――。近鉄の歴史を振り返ると、その歩みは決して順風満帆なものではありませんでした。約30社に及ぶ鉄道会社の統合や路線ごとに異なる軌間の問題など、幾度も課題に直面しながら、その時々の決断を積み重ね、日本を代表する巨大私鉄へと発展してきたのです。
駅員、車掌、運転士を経て広報として近鉄の最前線に立ち続けた元名物広報マン・福原稔浩氏が、現場と経営、そしてメディアのすべてを知る視点から、その舞台裏を解説する『
近鉄学 -元名物広報マンが解き明かす、日本最大私鉄の強さの秘密-』より、近鉄躍進の歴史と戦略について抜粋(一部編集)して紹介します。
近鉄魂はどう生まれたのか
近鉄という企業を語るとき、私がどうしても触れずにはいられないものがあります。それが、いわゆる“近鉄マインド”です。
これは経営理念として明文化された言葉でも、社史の年表に書かれている標語でもありません。私にとっての近鉄マインドとは、会社に入り、現場に立ち、日々の業務を重ねる中で、あとから静かに気づかされたものでした。
入社当初、私は特別に「近鉄の精神」について教え込まれた記憶はありません。しかし、先輩たちの背中を見ているうちに、自然と体に染み込んでくるものがありました。それは、声のかけ方であり、確認の仕方であり、異変への敏感さであり、そして何より、曖昧さを許さない空気でした。
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