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ここまでやるなら日本一を目指そう 高さ300メートル「あべのハルカス」誕生に見る近鉄の"やると決めたら貫く"覚悟

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あべのハルカス
あべのハルカスの建設は、極めて難度の高い条件の工事でした(写真:Gengorou/PIXTA)
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森が大きくなるように、路線ができると、駅ができ、人が集まり、まちが生まれます。観光特急の登場によって地域の魅力が再発見され、バス、不動産、ホテルへと事業が広がる。森はどんどん大きくなっていきます。

根っこがしっかりと張った近鉄沿線は「生活そのもの」を支える存在になりました。ただ、地域とともに歩む以上、絶対に裏切れない前提がありました。それが、安全と安心でした。どれだけ便利でも、どれだけ速くても、どれだけ魅力的でも、「だろう」「よかろう」で成り立つ鉄道は、決して許されない。

その覚悟が、声高に語られることなく、現場の空気として、判断の基準として、近鉄マインドを形づくっています。一番の商品は、豪華な車両でも、立派な建物でもない。お客様に提供する安全と安心である。近鉄マインドとは、理念ではなく生き方であり、曖昧さを許さない企業の矜持なのです。

「やると決めたら、貫く」

近鉄にはもう1つ、はっきりとした特徴があります。それは、「やると決めたら、最後までやり抜く」という企業体質です。ただしそれは、勢いや見栄に任せた強引さではありません。むしろ逆で、状況を徹底的に見極め、条件が整うまで待ち、そして「今がその時だ」と判断した瞬間に、迷いなく踏み出す。

この静かな覚悟こそが、私が長年、近鉄という企業に感じてきた一貫した気質でした。その覚悟が、最も分かりやすい形で都市に刻まれた存在が、あべのハルカスです。

現在、あべのハルカスが立つ場所は、かつて近鉄百貨店阿倍野店を中心に、人の流れと暮らしが交差してきた場所でした。戦後の復興期から高度経済成長期にかけて、南大阪を代表する商業拠点として発展する一方、時代の変化とともに、老朽化や都市機能の更新という課題も背負うようになります。

再開発とは、単なる建て替えではありません。長年この地で商いを続けてきた人々の生活、駅を中心に形成されてきた動線、そして阿倍野というまちが積み重ねてきた記憶。それらすべてを引き受けることです。そのうえで、未来の都市像を提示しなくてはいけません。

だからこそ、この計画は拙速には進められませんでした。当初の構想は、あくまで現実的で、堅実な規模に抑えられていたといいます。転機は2007年に訪れます。航空規制の見直しによって、建設予定地の一角が高さ制限の対象から外れることがわかったのです。

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