
これによれば、無子率を5%減して40.4%にすれば、CPMが同じでもTFRは1.25まで回復します。その場合、無子率固定のままCPMだけでそれを実現しようとすると、2.30人必要(追加で0.20人の出生が必要)となります。プラス0.20人増なら簡単ではないかと思うかもしれませんが、CPM2.30人以上を実現した直近の例は1990年までさかのぼらないとなりません。逆に言えば、35年間一度も達成していないレベルを実現することになり、実現は相当困難です。一方、無子率5%減は2021年レベルに戻すということであり、こちらの方が実現可能性は高いものとなります。
計算上、無子率10%減ならTFRは1.36に回復、それをCPMだけで実現するには2.49人が必要。同15%減ならTFRは1.46に回復、そのためのCPMは2.68人が必要となりますが、どちらももはや現実的ではありません。特に、CPMは、少なくともデータのある1968年以降、2.36以上になったことは一度もありません。
つまり、実現可能な目標としては、現状の無子率45.4%を5%ポイント減らして、TFR1.25を目指すというところになるでしょう。「1.25では全然足りない」と思うかもしれませんが、今の日本の人口動態上、実現できる最大のTFRは残念ながら1.25が上限です。ここの現実はシビアに考えた方がいいでしょう。
無子率改善が優先される理由
無子率かCPMかの二者択一論を言うつもりはありません。両方改善した方がいいのですが、TFR上昇実現性と寄与度からいえば、無子率減少が優先されます。なぜなら、無子率改善とは、子ども0人→1人の創出であり、それはCPMから言えば、期待出生数2.10人となるからです。その際、CPMも多少上積み改善されれば尚更よいでしょう。
無子率の改善とはほぼ9割が初婚増によって実現します。したがって、今いる夫婦にプラス1人の多産化を推奨するよりも、初婚を増やして未婚率を下げ、一人以上出産する母親の数を増やす必要があるということです。はっきり言えば、無子率(未婚率)の改善がない限り、出生率は絶対に改善されないといった方がいいかもしれません。
