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名門校の生徒は《不安障害・うつ病・薬物乱用のリスクが2~6倍》 東大休学者が10年で1.6倍に増えた本当の理由

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東大うつ
子どもの心は静かに削られていきます(写真:TY/PIXTA)
  • 西岡 壱誠 一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事・ドラゴン桜2編集担当
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そしてMさんは、その完璧主義のまま東大に合格します。中学受験のときと同じく「偏差値上1番だから」という理由で進路を選び、見事に頂点を取った――はずでした。

日本だけの現象ではない

実は、Mさんが抱えているような苦しみは、日本特有の現象ではないことが、近年さまざまな研究で明らかになってきています。

アメリカでは、2023年にジャーナリストのジェニファー・ブレヘニー・ウォレス氏が『Never Enough: When Achievement Culture Becomes Toxic(=「いくらやっても足りない――達成文化が有害になるとき」)』という本を出版し、ニューヨーク・タイムズのベストセラーとなって大きな反響を呼びました。彼女が同書で取り上げているのは、まさにMさんのような「常にトップを取り続けてきた子どもたち」が抱える、深刻なメンタルヘルスの問題です。

ウォレス氏が問題視しているのは、「トキシック・アチーブメント・カルチャー(有害な達成文化)」という概念です。"いくら成功しても、まだ足りない""次の目標に進まなければならない"――そういった圧力が、子どもたちを慢性的な不安と抑うつへと追い込んでいる、という指摘です。

アメリカ心理学会(APA)の機関誌『Monitor on Psychology』(2024年10月号)でも、この問題は大きく取り上げられています。同誌によれば、アリゾナ州立大学のスニヤ・ルーサー教授らの長年の研究によって、「学業成績が極めて高い学校に通う生徒たち」は、アメリカの政策レポートで正式に「リスク集団(at-risk group)」として分類されるようになりました。彼らが不安障害・うつ病・薬物乱用に陥る割合は、一般的な同世代の平均と比べて2〜6倍にもなる、というのです。

「トップ校に通っている」という、一見すれば誇らしい属性が、メンタルヘルス上はむしろリスク要因として警戒されている――。これは僕たち日本人にとってもなかなか衝撃的な事実ではないでしょうか。

実際、アイビーリーグの一角を占めるハーバード大学の学生健康調査でも、近年は学生の22%がうつ症状を、23%が不安症状を報告しているという数字が明らかにされています(『Harvard Crimson』2025年9月報道)。また、米ボストン大学公衆衛生大学院の研究(Healthy Minds Network、全米300校以上・約35万人を対象)によると、2013年から2021年にかけて、大学生のうつ病は135%、不安症は110%増加していると指摘されています。

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