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現地の法律を徹底無視したフェイスブック幹部 韓国警察の逮捕状に、部下を"身代わりの捨て駒"に選んだ非情

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マーク・ザッカーバーグ フェイスブック メタ
マーク・ザッカーバーグが率いるFacebook。静かな会議室で何が起こっていたのか?(2025年撮影:AP/アフロ)
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8月、韓国に向けて出発する数週間前、韓国危機対策会議が招集された。エリオットはMチームの一員として韓国行きが決まっているせいか、自分やマーク、シェリルが刑務所に放りこまれる可能性について、にわかに強い関心を示した。Facebookの弁護士から送られてきたメールには、「刑務所収監と刑事責任の脅威はきわめて現実的」という一文があった。

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私はFacebookに確かに非があるという前提で、いくつかの解決策を提示した。たとえば、韓国のサイバー犯罪警察に協力することもできるし、Facebookが事業を展開している国々の法律を遵守すべく、社としての姿勢を見直すという手もある。

「全世界共通で適用するの?」マーニーが訊いた。

「そうです。韓国だけ変更したら、変更の原因を知ったほかの国々がマークに逮捕状を出すでしょうから私は言った。みな不満げな顔をしていた。「どのみち全世界で変更すべきだと思いますし」

まるで相手にされなかった。そこで私はもう黙っていることにして、私より立場が上の人たちに場を譲ることにした。

「逮捕される係が必要だな」

「はったりを見抜くために」

「それで向こうの本気度を試す」

私は愕然とした。社員の誰かを牢獄に送ってしまえという話だ。それを経営陣がこれほど軽々しく口にするのだから。税金のように、“人生にはつきもの”と言わんばかりだ(もっとも、税金は全力で逃れようとしているのだけれど)。いつしか全員がこれを“リスク緩和策”と呼び始めていた。この場合の“緩和”とは、身代わりを差し出して逮捕させようという話なのだ。

静まり返った会議室で決められた「逮捕要員」

私の意識はその場の会話からしだいに離れ、言葉の選び方しだいで倫理的な問題そのものが消し去られてしまうのだなと考え始めた。“逮捕される係”などという言い方は、まるで自分の所有物か何かのようで、誰かの息子や娘を指しているようにはまるで聞こえない。アメリカの企業でそんな言葉を耳にするなんて、あまりにも異様だ。

でも、その会議で議論されたのはそれなのだ。韓国でのFacebookのふるまいが正しいかどうかではなく。
「本社から誰か派遣して、韓国当局が逮捕にどこまで積極的かを確かめる必要がありそうだ。現地の人間ではだめだな。マークやシェリルより前に韓国に入国させなくてはならないーー逮捕要員を」エリオットが淡々と言った。

会議室は静まり返った。時代の最先端を行くテック業界に、“捨て駒”なんて発想が存在するなんて思いもしなかった。

「私は行けません」セキュリティ責任者の一人が早口で言うと、何人かがそれに続いた。ただ、そんな必要はなかった。その会議室にいる誰もが“捨て駒”にするには地位が高すぎる。

まもなく沈黙は気まずいものに変わった。やがて私はゆっくりと悟った。全員の視線が私に集中している。このなかで一番の下っ端である私に。

「え、私?」私はとんでもない人違いが起きたかのように言った。

エリオットがうなずく。

決まった。“捨て駒”は私だ。

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