気候変動を象徴する展示がロンドンのターミナルの1つ、ヴィクトリア駅にあった。4m四方ほどのスペースに設置された「ザ・サマー・レール・ガーデン」と称する展示だ。テーマは「気候変動への適応」で、レール温度上昇、土壌乾燥、地盤収縮、信号設備への影響などを紹介している。
実際に、気候変動が要因とみられる災害によって、ダイヤの乱れや冷房の問題だけでなく、鉄道に被害が及ぶ事例は増えている。
主な事例として、2016年にはロンドン郊外のワトフォード・トンネル入り口付近で土砂崩れが発生して列車が脱線、対向列車に接触する事故が発生。2020年8月にはスコットランドで、局所的豪雨によって土砂崩れが発生して列車が脱線し、死傷者が出る事故が起きている。長期間運休となった例もあり、2016年2月にイングランド北部のイーデン・ブロウズ付近で起きた大規模な地滑りでは、翌年3月まで路盤改良工事のため運休を余儀なくされた。
鉄道網は猛暑に耐えられるか
イギリスの鉄道事業者はすでに気候変動を将来の問題ではなく、現在進行形の経営課題として認識しているのは明白だ。5月下旬に起きた熱波による猛暑は、その危機意識が決して大げさではなかったことを示した格好だ。近年は日本でも毎年のように豪雨災害などで鉄道が不通になる例が相次いでいる。気候変動が鉄道運営上のリスクである点については、決して他人事ではないはずだ。
この5月はロンドンの酷暑発生により、鉄道会社も乗客もその「適応」に直面する戦いの場に真っただ中にいきなり放り込まれた。2022年7月にはなんとロンドンで40度を超える気温に達した。5月で35度超えを記録した今夏、はたして気温はどこまで上がることになるのだろうか、そして鉄道網は酷暑に耐えられるのだろうか。
