それではレンティア資本主義とは何か。「レンティア」とは本来、単に不労所得で生活している人々を指す言葉だ。基本的にレンティア資本主義とは、「主として希少資産の所有や、支配から、それも競争の制限された、またはまったくない状況下で」得られる所得である。
家主は、家を買う余裕のない人々のために家を建てるわけでもなければ、家賃を低く抑えるわけでもない。契約更新の時期に家賃が上がるのは、家主が借家のキッチンの改装や、寝室の増築を決めたからではなく、市場の動向に合わせたいからだ。
さらに、既存の資産を手中に収め、そこから金を吸い上げるという民営化モデルとは大きく異なる形もある。
2006~17年にかけて、テムズ・ウォーターはオーストラリアの銀行マッコーリーが率いるコンソーシアムに所有されていた。
その間に、テムズ・ウォーターの負債は34億ポンドから108億ポンドに膨れあがる一方、マッコーリーを含む株主には27億ポンドの配当が支払われた。
これがいわゆる資産剥奪(経営不振の企業を買収し、その資産を売り払って利益を得る行為)のように見えたり、聞こえたり、その臭いが嗅ぎ取れたりするとしたら、それは事実そのとおりだからだ。
崩壊するインフラと「力の不均衡」
他のセクターでも同じことが起きている。英国の鉄道はかつて国営だったが、1990年代に英国国鉄がばらばらに解体され、売り払われた。
アバンティ・ウェスト・コーストは、その中でも飛び抜けて劣悪だ。2023~24年には、運行する列車の15本に1本相当が運休になり、マンチェスター発ロンドン行きの列車の4分の3が遅延した。
だが、アバンティの経営幹部は、そのことをまるで恥じたり、反省したりはしていない。彼らは自分たちが納税者の金を集めている会議でジョークにし、「寄っていらっしゃい、見てらっしゃい。ここならタダで金が手に入るよ!」と笑いのネタにしていたのだ。

