空気が民営化され、企業の株主が莫大な利益を手にする一方で、他のすべての人々が呼吸に苦しむようになるという想定は、いささか突飛に感じられるかもしれない。
だが、私がここに観念的なフィクションの形で書き連ねたことは、どれも英国の近年の歴史から直接、材を取ったものだ。
2016~2021年の間に、民間の水道会社が英国の水路に未処理の下水を排出した時間は、総計2553%も増加している。私たちは民営化されたインフラが身の回りで崩壊するという現在進行中の厄災のただ中で生きているのだ。
私たちは何も所有していない「借地人」だ
あなたはどれだけのものを本当に所有しているだろうか。頭上に屋根があるのは、家主に家賃を支払っているからではないか?
権利証にあなたの名前が載っているのは、あなたが自宅を完全に所有しているからだろうか、それとも住宅ローンを返済しているからだろうか?
車はどうか。ローンでそれを購入したのではないか?
あなたが制作したグーグルやフェイスブック、ワッツアップ、インスタグラム、ティックトックなどのコンテンツは、そのデータも含めてあなたが所有しているか?
クレジットカードや学生ローン、住宅ローンを含むすべての借金を、明日完済するよう求められたらどうなるか自問するとよい。貯蓄を取り崩すなり、急ぎの仕事で必要な金額を稼ぐなり、購入後に値上がりしていた所有物を転売するなりして、破産を回避できるだろうか。もしも答えが「いいえ」または「おそらく無理」なら、おめでとう、あなたは借地人階級の一員だ。
社会は2つに色分けされた。
一方は「地主」、すなわち次第にあらゆるものを所有するようになっていく個人ないし企業であり、もう一方は「借地人」、すなわち地主以外の全員である。
そして私たちが文化戦争の形で経験しているのは、実際にはレンティア資本主義を下支えする社会的な足場になることなのだ。

