一方、85年に科学万博を見込んで作られた「モール505」は、ほぼ廃墟だった。シャッターの降りたテナントが続き、空いたスペースが妙に広く感じられる。10億円をかけて作られた商店街が、40年後にこうなると、当時の関係者は想像していただろうか。
その一角で営業を続ける店主に話を聞くと、「つくばが発展して、人が取られちゃった。地元の人は、買い物っていったら郊外のショッピングモールじゃないかな。企業も土浦市内にあるのに、名前はつくば支店だったりしている」と話した。土浦側には、「つくばに人が流れた」という実感があるようだ。
もっとも、土浦に活気がないわけではない。中城通りや土浦城の周辺は、観光客が増えているという。中城通りにある喫茶店の店員は、「普段は人通りが多いです。土浦城の観光、マンホールカード集め、サイクリング客と、いろんな目的の人が来ます」と話す。駅前の商業は失われたが、目的を持った人が街に集まる動きが生まれていた。
つくばにとって、土浦は「数ある近隣自治体の一つ」
現地を歩いて感じた両市の非対称は、つくば市への取材でも見えてきた。
土浦市との関係について尋ねると、つくば市は複数の部署から回答を寄せた。
観光分野「土浦市を含めた周辺自治体との広域連携」
ジオパーク「6市で構成する協議会」
公共交通「8市による検討会議」
など、いずれも土浦は「複数自治体の一つ」として登場する。土浦単独との関係性を強調する回答は、ほとんど見られなかった。産業振興についても、「土浦市との具体的な広域連携や合同事業は、現状特にありません」と回答している。
つくばエクスプレス(TX)の土浦延伸についても、つくば市の姿勢は慎重だった。
市は「茨城県としての方針決定段階であり、国土交通大臣の諮問機関である交通政策審議会の答申に反映されていないことから、具体的な構想等については検討していない。現在は、交通政策審議会の答申に位置づけられている東京駅への延伸に取り組んでいる」と説明。
