そして駅から少し歩くと、廃止された公務員宿舎群が現れる。鬱蒼と木が茂り、使われなくなった建物が並ぶ。整然とした都市空間の中に、突然、時間が止まったような場所が現れる。つくば市はこれを「公務員宿舎から民間マンションへの土地利用転換」と説明する。実際、周辺では新しい住宅建設も進んでいるようだ。
ただ、現地で見えたのは、完成された計画都市ではなく、数十年を経て更新期に入った都市の姿だった。
にぎわいは駅前ではなく郊外にあった
つくば駅前の商業施設「トナリエ」は、平日の昼間は静かだった。3つの建物が連なる構造は動線が複雑で、自分がどの建物の何階にいるのかわからなくなる。フードコートの休憩スペースは昼食をとる人たちでにぎわっていたが、買い物客の姿は多くない。
この施設の前身は、1985年開業の商業施設「クレオ」である。かつては西武百貨店筑波店が核店舗として入り、研究学園都市の顔だった。しかし西武は2017年に閉店。駅前商業の風景は大きく変わった。
つくば市も、この駅前の苦戦を認識している。 市は取材に対し、郊外型大型商業施設の進展や西武筑波店の閉店などを背景に、「つくば駅周辺の商業機能の流出や魅力低下が懸念される状況」だったという。
実際、にぎわいは別の場所にあった。つくば駅から一駅先、研究学園駅周辺である。
大型ショッピングモール「イーアスつくば」の駐車場は、平日にもかかわらずほぼ満車。ファミリー層が目立ち、カフェチェーンには待ち客もいた。大型専門店や全国チェーンが並び、「何があるか」が直感的にわかる。買い物目的で来る人の流れが、はっきり見える場所だった。
