そんな秋元康さん企画のドラマだが、2022年から4年ほどは大ヒットを記録していない。なぜか。秋元康さんの価値観と令和の価値観に決定的なズレが生じてきていると言ってしまえばそれまでだが、主に2つの理由があるのではないかと思われる。
秋元康さん企画のドラマがヒットしなくなった2つの理由
1つ目は、視聴者の「考察疲れ」による、考察系作品の人気低迷だ。そして2つ目は、コロナ禍の巣ごもり需要が消滅し、リアルタイム視聴者が減少したことだ。
考察ブームの火付け役である2019年に放送された「あなたの番です」。毎週SNSで大きな話題となり、もはやドラマを観ていない人ですら内容をうっすら把握できるほどの盛り上がりを見せていた。しかし、この成功を皮切りに、エンタメ業界では考察作品が爆増することとなる。
秋元康さん企画・原案のドラマだけでも、
・あなた犯人じゃありません(2021年)
・真犯人フラグ(2021年)
・差出人は、誰ですか?(2022年)
・警視庁考察一課(2022年)
などをラインアップしている。ドラマのみならず、漫画にアニメ、映画に至っても考察モノの人気は高い。細部に張り巡らされた伏線や没入できるような構成、製作陣の気合いが入っているからこそのクオリティの高さなどを堪能できるからこそ多くの人に支持されているのだろう。
人気が高いからこそ、視聴者は高頻度で考察作品に触れることとなり、「考察疲れ」といえる現象を引き起こしたのではないだろうか。
有り体に言ってしまえば、考察作品に飽きてしまったのだ。「ああ、また考察系ね」と捉えられてしまい、ミステリージャンルの時点でそもそも視聴するドラマの選択肢にすら入らなくなっているのではないだろうか。
2010年ごろ、SNSにリアルタイムでドラマの感想を投稿する人が増えた。さらに、コロナ禍の外出自粛期間、おうち時間を活用してリアルタイムでドラマを視聴する人が激増していた。
実際の数字を見てみよう。コロナ禍に放送されたドラマの代表格ともいえる「半沢直樹」。その最終回の世帯視聴率は、脅威の44.1%を記録した。さらに、「私の家政婦ナギサさん」の最終回は30.5%、「テセウスの船」の最終回は29.8%と、非常に高い数字を記録している。
しかし、コロナ禍が明け、人々の生活は出社ベースに戻り、必然的におうち時間が減ったのだ。
その結果、リアルタイム視聴者も減少した。その証左として、見逃し配信サービス「ティーバー」の利用者が年々増加している。
2025年10月に、月間動画再生数5.4億回、11月に5.8億回を記録、累計ダウンロード数は9000万ダウンロードを達成。単純にダウンロード数だけで見れば、国民的アプリとして定着していると言える。とどのつまり、リアルタイムでテレビを観るのではなく、放送後の見逃し配信を見る人が増加したことで考察系ドラマも評価されづらくなっている。
時代によって求められるドラマも変わり続けている。今後、考察ドラマに代わる人気ジャンルが出てきそうな気がするが、果たしてどうなるのだろうか。秋元康さんが再びブームの牽引役になる可能性はあるのだろうか。
