「(お年寄りたちは)みんな明らかに、来た時とは顔の表情が違うよ」、社会福祉協議会の人からは、そんな嬉しい言葉もかけられた。
活動をブログやSNSなどで発信していくと、外出が難しくなった祖母のためにやってほしいという相談が知人から寄せられるようになった。同じような希望を持っている人がいるかもしれない、と考えた根本さんは、高齢者とその家族のためのプライベートコンサートを企画することにした。
幸い、ここはリゾート地の八ヶ岳。ピアノがあって雰囲気のいいカフェやペンションなどがいくつもある。グランドピアノのある地域のカフェに相談し、家族限定プチコンサートを開いてみることにした。
参加費はお茶、お菓子もついて一人5000円。コンサートではクラッシックの定番曲から歌謡曲まで、さまざまな曲を盛り込んだ。
施設で暮らす認知症の母親と参加した家族からは、普段は歩き回ってしまうため、コンサートに連れていくことはできないが、少人数のこの会のおかげで好きだった曲も生演奏のピアノで聞かせてあげられたと好評だった。
おせっかいがつながっていく
地域の高齢者のための活動は基本的には無料で行ってきた根本さんだが、活動を続けて1年後、「名曲タイムスリップ」に資金を出したいというスポンサーも現れた。
「『今すぐ(アルバイトを)辞めなさい!』と言ってくれたおばあちゃんのあの一言がなかったら、あのままだったかもしれません」
106歳のおばあさんのおせっかいな一言で未来が変わった根本さん。今は、根本さんのおせっかいが小さなこの町を、音楽の町へと押し上げようとしている(後編へ続きます)。
