このように日本株の全景を俯瞰すれば、それは単純な「強い日本企業」の復活などではないことが見えてくる。
市場は冷徹に3つの階層に分解されているのだ。すなわち、上段に君臨するAI・半導体・データセンターおよびその供給網(素材・インフラ)、中段に位置する建設、不動産、通信、一部の食品、グローバル消費企業、そして下段に取り残された自動車、鉄鋼、汎用化学、内需衣料、運輸などの伝統的産業である。
2つに引き裂かれた日本経済
すなわち、現在の日本は「2つの経済」に引き裂かれている。一方にはAI、半導体、エネルギー、安全保障と連動して暴利を貪る「外向型戦略産業経済」があり、もう一方には人口減少、人手不足、低生産性の泥沼に囚われた「内需・民生経済」がある。株価の上昇は前者の局所的な繁栄を反映しているにすぎず、社会全体がその果実を享受できているわけではない。
この日本の現実は、経済安全保障時代の本質的な勝負が、単なる「見かけの成長率」の競い合いではないことを物語っている。いかに戦略産業を育成し、マクロの需要を喚起しようとも、その成長が実質賃金の向上や国内投資、ひいては国民生活の安定へと還流しなければ、持続可能な好循環は描けない。
今後の国家間競争の本質は、半導体やAIの技術水準のみならず、その成長の果実を自国経済全体へいかに目詰まりなく還流させられるかという「ガバナンス能力」の闘いへと移行していくだろう。
こうした日本の苦闘は、まったく同じ構造的圧力を抱える韓国にとっても極めて示唆的である。日本は依然として国内に分厚い製造業のサプライチェーンを維持しているが、企業収益と投資の主軸は着実に海外へとシフトしている。
韓国は現時点でこそ、半導体や自動車、二次電池、造船といった中核産業の国内生産・雇用の連関性が日本よりも強い。しかし、アメリカ主導のサプライチェーン再編と経済安全保障の激化に伴い、韓国企業の海外直接投資もまた急ピッチで膨らんでおり、日本が直面する空洞化と「2つの経済」の乖離(かいり)を回避することは容易ではない。
